夜の帳が下りる頃——

男は、焚火に向け手を翳す。
それに応じるかのように、炎は揺らめき、勢いが意志を持つかのように変わる。

「なーなー、何してんだー？」
「先日依頼した得物のメンテナンスだよ。ほら、これだ。」

相棒に見せてみたのは、所々に炎の意匠を刻んだガントレット。
紅葉を基にし、炎の術式に特化させたものだ。
名前も、それっぽく【篝火】を意味する銘を付けてもらった。

「っ……ッ！？」

また、あの痛みだ。
それと同時に、自身の中から燃えるような感覚も覚える。

「お、おい？　大丈夫かー？
　やっぱ、どっか悪いんじゃないのかー？」




「いや……問題ない」