Vanetta's Diary - Page.39

久しぶりに元のパーティ戻ってきて、不思議な落ち着きを感じる39日目の朝。
現在地は星屑の山山頂にそびえる、その名も "小さな" 屋敷。
もちろん偽りあり。目当てのヴァルキリーとついでに王女様の居室まで、ルートを事前に知ってても二日。
……おかしいでしょほんと……　どれだけ広いのよ……
いえ知ってる。物理的な空間の広さはこの一揆では全くあてにならないって。
空間がおかしいのか時間感覚がおかしいのかは自分じゃ分からないけど、とりあえず「日数」がかかる。

ま、この辺りの疑問については過去にさんざん考察したから置いといて。
偵察に出て見つけた魔物がまた、おかしい。
今までの城内の傾向から、屋内に似つかわしくないような怪異と戦う覚悟はしてたけど。
とはいえ、見かけて一目散に逃げた、あの黒い塊。見た目だけの判断だけど、あれって、異界の、……あれよあれ。黒いスライム。
本物なら（いや本物な訳ないんだけど）、一体どれだけ恐ろしい事やら。……ギラのあの斧なら粉砕できるかしら？
あの尋常じゃない破壊力なら何とかしてくれるか、と期待したいところ。


さて、悩むだけでも仕方ない。
準備をして、進むとしましょうか。

ほっと胸を撫で下ろし

あまりの勢いにびくっとしつつ

満面の笑みを浮かべて、抱きつく。
同じように頭を撫でようと手を伸ばしてみるが、手が届かなかったようだ。