見られている。



そう、感じ始めたのはいつの頃だっただろうか。

この世界にやってきた頃の"それ"は単純な興味の色が強く、私もまた同じ色の
視線を持って他者と接していた。ああ、あの人はどこの世界の出身だろうか。
あの服の模様はどうなっているのだろうか。あの使っている機械の動力源は…。

いわゆる未知への興味。知りたがり。好奇心。

この世界で暮らし始めしばらく経った頃、"それ"は自身から身の回りの物へと移る。
代表的なもので言えばリバラがそうだ。彼女を作る技術力は最先端を行く私の世界
であっても、比較的新しい技術によって作られている。交流を持った人が言うには、
リバラレベルの自立型は目指す所であっても、実現できる所ではなかったという。


しかし、これらもまた好奇心の延長線上…いや、技術への好奇心というべきか。
稀に敵意を向けられる事はあったがその分も含めて極めて人間らしい心のこもった
"それ"だった。

リバラが私が居心地悪そうにしているのに気づき、声を潜めて私に聞く。
さすがは私の相棒…と感心しながら、視線を感じた方向をハンドサインで伝える。
これは私とリバラ…後一応アイグレーのみに伝えてある伝達方法で、最も原始的
かつ私達の技術力を持ってしたら不要の類の密談であるのだが、あえてこれを
取っているのにも勿論理由があった。

一定範囲のあらゆる生体反応をスキャンする広域サーチを終えたリバラが
ため息混じりにサーチ結果を"手渡し"する。そのデータを自分の端末へと転送
すると、成程…言葉の通り分かりやすい結果がそこに表示された。

ハンドサインという最も原始的な密談方法を取り、データを手渡しで受け取った
理由もそこにあった。同じ世界の人間であれば、ある程度捕捉されてしまい、
相手に警戒される可能性がある。今はまだ、相手を刺激するべきではないし、
戻ってからのことも考えると最後まで敵対せずに動きたいのも確かだった。

しかし、同じ世界の人間が私を監視している。それが指し示しているのは
やはり「エリュテイア・ロートレックが捕捉された」ということだろう。

本来、別世界へ渡航するには正規の手続きがいる。事故とは言えその手続きを
行わずにここに居ることは、不法滞在と見なされるだろう。加えてその渡航法に
"技術力提供の禁止"という項目があり、細分化されたその中ではリバラ自体を
起動したことも含まれる。その事はエルも自覚しており、帰るに至った際には
裁きを受けることも覚悟していた。

───いたのだが…

そう、思っていたより補足されるのが早かった。少なくとも、この一揆が収まる頃
くらいまでは余裕が有るはずだった。リバラにもしっかり対策をしているし、
自分の端末も地下には接続していない。加えて私の端末のシステムは私自身が
作った趣味のシステムであって、コレを突破されるとは思いにくい。

最悪なのは一揆中に捕縛されること。正規の手続きを取らずに世界を渡っただけ
でなく、その技術力を使い抗争に参加したとなれば、事故と認められない可能性が
ある。そうなれば重罪となって、この世界に戻ってくることは叶わないかもしれない。
そうなる前に…

「「帰ろう、エルフィリエに」」

　

いわれたとおりの物を想像してる。
アルミカーンに加えこないだ見た妖精さん？の姿プラスし、
それが何度も自分に向かってくる状況
というかポーズをとりながら視界に自分から幾度と入ってくる時点でそれがもし可愛い女の子でもいやな感じがする。
それが・・・

いきなり出奔されちょっと全身をびくっとふるわせてしまうちなさん

エルのいじめ？　という発言を聞けば

エルの説明と、リバラの豹変っぷりを見れば

などと言うウン百歳の魔王であった。

力なく、それだけ言うのが精いっぱいだったという

…ルーリの背後から何か出てきた。

ウンディーネはエルに視線を向ける…。

4D10 = 27 ( 9 6 5 7 )