鹵獲した敵兵器にせよ何にせよ、そのままにしていては置物に相違無い。
使えるものならば何でも使え。機兵戦争が本格化する前から言われてきた言葉である。



彼らの住む世界は、戦争による資源の奪い合いが絶えず続いている。
最初は人間同士での戦だったが、激化し続けた末に問題が生じた。急激な人口減少である。

そこで人類は人間ではなく、機兵…機動兵器を戦争に投入する事にした。
資源争奪に資源を投げ打つ本末転倒なものであったが、しかし血が流れる事は無い。
機兵同士が戦い、破壊しあい、最後に立っていた機兵を所有する陣営に勝利が確約される。

最初は唯の代理戦争であったが、いつしかそれはエンターテイメント性を持つに至った。
各社が開発しロールアウトされた機兵が火花を散らす。TVの向こう側の『それ』は、
戦火から切り離された一般人にとって、ショー以外の何物でもなかったのだ。

やがて人は戦争に対して警鐘を鳴らす事を止めた。戦争は非日常でなく、日常となった。

自分の世界の戦争は、終わる事は無い。
…だからこそ、せめて異世界で起こった争いくらい止めてやりたいのかもしれない。