う、うむ。そうか。じゃあそういうことにしておこう。

ということは、ラーフィーの故郷は一神教に近い多神教というわけじゃな。
いや、前にも聞いたが、神の規模になるとなかなか想像力が追いつかぬでの。
ふむ。その大神は、破壊の神に負けてしもうたのじゃったか？
そもそも破壊の神は、何をもって神だと名乗れるのじゃろうかの。

うむうむ。確かに、蛇は美しくしなやかで聡明じゃ。
狐は怠惰や堕落にしか生きられぬものよ。矮小な狐に比べて、蛇とはなんと威厳と寛容に満ちておることか。
そうじゃな、慈悲深き蛇の眷属ならばきっと晩飯程度は軽々奢ってくれるじゃろう。ありがたやありがたや！

やっぱそうかや。まあ、バステトはちと儂も使いにくそうじゃな、と思うておったのじゃ。
しかしバステトとネコマタを揃えてみたいとは思わされた。うむ、なんという愛くるしさ。

ふむ。じゃがラーフィーはそれほど弱くはないと思うがの？
特殊装備にド根性など挿してみるのはどうじゃ。耐久力が増せば、それだけで随分と違ってくるぞえ。

いやいや、だから、な？　そこまで淫婦にはなっておらんという話じゃて。
だいたい儂は結婚詐欺などしたこともないし、一度夫、あるいは妻を娶ったら、相手が死ぬまで尽くす主義じゃぞ？

んー？　はは、その警戒を一枚一枚剥いでいき、気づけば儂以外目に入らんようにするのが良いのではないか。
なに、一度でも床に引きずり込めばだいたいの相手は過去など気にしなくなる。問題ない。

肉に溺れさせるとは人聞きの悪い。これはな、愛する相手に身も心も捧げておるということさ。

……よく、腹上死という言葉を知っておったのう。
ま、そうなりかけた者が居なかった、と言えば嘘になるが。戦死ではなく女の腹上で死ねるなら、男も本望じゃろ。

しかし、浮気相手を潰す、か。考えたこともなかったのう。
いや浮気されるということは、儂に、相手を魅了し続けるだけの力が無かったということじゃろ？
それならば仕方あるまい。悪いのは儂じゃからな。
なのでそういう時は、浮気相手を堕として奪った上で、元恋人の目の前で盛大に口づけして２人で去るだけよ。

いやいや、それは誤解というものじゃ。儂は心からセレスを好いておるぞ？

ん、ラーフィーはわからぬか？　ふむ。ほれ、セレスがこうやってテンパっておる顔、可愛かろう。
それを引き出すために悪戯を仕掛けたくなるじゃろう。むろん、セレスは笑顔も可憐じゃが、の。

おお、よく理解っておるではないか！　そう、おかずも大事じゃが、中身も大事じゃの。
炭水化物は唾液で分解されると知っておるか？　舌で濃厚に絡め合えば吸収もされやすい。
バランスも大事じゃな。サラダか。そうじゃの、ベーコンレタスも良いな。時にはそっちもスパイスになる。
ほう、セレスは好き嫌いがないのか。流石文筆家じゃ、幅広くジャンルを取り扱っているというわけじゃな。
ん、でもいかんぞラーフィーよ、そのサラダはセレスの美容の為に必要じゃ、トマトを添えて返してやるがよい。

ふむ。ケッコンはしておらんが、ケッコンしてもよいと考えた大事な相手はいた、か。
ふふ、それも幼馴染とはの。
そなたの世界でケッコンは、義務かなにかのようだと感じておったが、ちゃんと好意で繋がれるのじゃのう。

いや、良いよ。そなたの過去話を聞くのは、嫌いではない。
ただ、つらい過去を蘇らせてしまったのではないかと心配は、する。
その白き前髪に、大切な幼馴染の想い出が宿っておるのかえ？

セレスの故郷というよりは、種の起源というべきかも知れぬがの。
呵々。じゃが、ラーフィーの事情はセレスも理解しておるから、誤解を本気にすることはあるまいさ。
……もう何度も、恥を欠いておろうし。

うん。良いと、思うぞよ。
相手のことを思いやり、大切なものを贈る。思いとは、願いじゃ。願いは加護となり、持ち主を守ってくれる。
ラーフィーの思いが、セレスを守ってくれよう。きっと、な。

そうじゃな。確かに、雑談ならともかく真剣にかわすには不毛な話題じゃの。
ただ、どうやらそなたは故郷から離れたことで少し、価値観に変化が出てきたのではないかな？

……と、儂は思うたのさ。ふふ、これは気の迷いとしておこう。すまぬ、先の問は無かったことにしよう。

我等(の本体)は戦国時代を終わらせた武将タヌ。
東海一の弓取りと呼ばれたのは伊達じゃないタヌよ。

普段のんびりとして体内に溜め込んだ妖気を全力開放すれば、大猿に変化して気孔砲の一撃で小惑星ぐらい粉々に出来るウキャ〜！

それじゃ、やろう。言っておくけど、負けるとしてもただじゃ負けてあげないからね？

降り掛かる火の粉は払うのみ。 …鳴瀬御舟、いざ参る！

……と見せ掛けて俺、参上！ …ってね？

……先生、あまり無茶はしないように。

多岐野祥子、いざ、参ります！

それじゃァ、おっ始めるか。
嬢、ちィと体、借りるぜ！