話せなかったようなことも、
ぽつり、ぽつりと。
あるいは、次第にとめどなく。



「・・・前にさ、銃弾は一発だけでいいって言ったじゃない。
　あれね、失敗したら終わりだと思ったのよね」


「どうせ、外したらそこまでで、私はそのまま食べられてしまうんだわ」


「誰を撃ちたかったか、は、それこそあんたに言ってもしょうがないと思うんだけど
　・・・身近な奴。
　私の話を聞いたって、あんたは多分、私を止めるだろうから」


「私と同じ苦しみを味わわせてやる、
　なんて言っても、私以外に誰も、分かってくれないだろうしさ」


「兄様の話とか、嘘ついて悪かったわね。」

「ほんとはね。
　私に兄様なんて居なかったし、
　私の記憶とか、私自身も、・・・作られたもの、だったのよ」

「何言ってるんだか通じないと思うけど、
　私だって分かりたくないもの、仕方ないわ」

「・・・笑えるよね」


「・・・うん。
　私が何のために生まれたのか、とか、
　誰に望まれて生まれたのか、とか、
　そんなの・・・」



「ふふ。せっかく銃の扱い方も教えてもらったのにね」


「あんたには分かんないだろーけど、結構、苦しんだりも、したんだけど」


「私をこんな事にした奴に復讐したって、結局、
　私自身は何にもかわらない、どうにもならないことだって思ったし。」



「・・・なんかね。もうどうでも良くなっちゃった」



「だから──」

薄っすらと刃についたを血液を散らすように得物を振り払う……。