手にした札から出ていた禍々しい雄叫びが響き渡っている。

一瞬、札が明滅したかと思うと、辺りはシンと静まり返った。

ひらひらと札を弄びながらうんうんと唸っている。

くいくい。

ばたばた、ぼて、ばたばた、じたばたばた。

ばたばたばた。

そういうと、ポケットの中から別の札を取り出し、なにやらぶつぶつと呟いた。

すると、開放された風の精霊が城とは反対の、城門へ向かいかなりの勢いで飛んでいった。

そう言うと、彼女は静かに姿を消した。

身体を触られているにも関わらず、一切動揺を見せることはないが、
気にはなったらしい。

ファイが言い終える直前に、あなたの背後から半透明のエンブリオが現れた。

突然姿を見せたエンブリオを、ファイは興味津津といった様子で見ている。
先ほどまでの疑問はどこかに吹き飛んでしまったようだ。
やがてあなたが一歩下がり、エンブリオの方が前に出てくると、
ファイは目線をそちらに合わせた。

小首をかしげて、ファイはエンブリオに尋ねた。