何故助けないのか、と私は問うた。

何故助けようとするのか、と彼女たちは言った。
我々に課せられている使命は調査であり、世界に干渉することではないのだと。

たかが子供一人ではないか、と私は言った。
それに、殺すなとは命じられているが、救うなとは言われていない。

命はそのように軽んじてはならないと彼女たちは言った。
その子供が生き延びることで、今後この世界に大きな影響が出る可能性もある。
本来死ぬ筈ではなかった者が死ぬかもしれない。もしそうなれば、我々が殺したのと同じことになる。

私たちはこの世界の未来から来たわけではない。
歴史の流れなどというものに触れられるほど大それたものでもない。

何故そこまで救いたいのか、と彼女たちは問うた。

何故？
それは理由を提示しなければならないことなのか？

彼女たちは互いに顔を見合わせた。
No.6、この世界に来てからお前は少しおかしいぞ。
便宜上のリーダーであるNo.1が言った。

確かにおかしい。
私は自分でもそれを感じていた。
何故こんなにもこだわるのか？

不穏な空気の兆候を感じた。
私はその子供を保護することを諦めた。

突如現れたマガタキさんに驚きつつも

と消えてしまったところに話しかけ

まぁゆっくりすればいいんだけど、といって


……？　どこか不可解な返事に首を傾げつつ

さやえさんはわりと前向きな人だったりするのかな？　と訊いてみたり

しきりに背後を振り返りつつ進む。