「ぃよっしゃあ！　まさかヌシを仕留めれるとは思わなかったぜ」

知り合いの猟師のおじさんがとても嬉しそうにしていた。
猟師のおじさんは他の村の人と違って優しいし、山では村で見れない物が見れる。
それに、他に人がいないから。おじさんはいるけど。

「やっぱ嬢ちゃんに連れてくるとツイてるな、また頼むぜ」

あんまりくるとお父さんに怒られるからしょっちゅうは無理だけど。
でも山はすごく好き。

「しっかし、なんだこりゃ。ホントによ。
　俺が一人できたときにくらべてどんだけ採れてるんだってモンよ」

そわそわとおじさんが村への帰り途を伺ってる。
こんな大物捕まえたんだし早く換金したいんだろうな。
それで生計立ててるわけだし。

「あー……わりぃな嬢ちゃん。ちょっと俺ぁ先に降りてるわ
　嬢ちゃんなら大丈夫さ、山が守ってくれらぁ」

…………。
おじさんの言う通り山が守ってくれたのか、道中には獣も出なく、のどが渇いた頃には湧水を見つけられた。
おなかがすいたときには木の実も落ちてきた。
快適でも快調でもなかったけれど、子供が無事に一人で山から下りれたのは喜ぶべきことかと。

ただ、猟師のおじさんは月が変わっても季節が変わっても帰ってはこなかった。
また少し村で何か言われたけど、いつものことだから気にしない。
私を山に連れていく人もいなくなったけど、別にもういいや。

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「そういえば雪の子供時代ってどんなだったの？」

「え、今と代わりないですよ。至って普通に暮らしてました」

「ふーん……」

「どうしました？」

「いや、それじゃあずいぶん昔からそんな腹黒かったんだなって」

「腹黒って……ひどいですねぇ。そんなこと言うならもうお菓子あげませんよ」