適当に薙ぎ倒したキラーウルフの内の一匹と契約した。
キラーウルフとはそもそも群れるものだったんだろうか。
今までキラーウルフを見たという話は結構聞いたけれど、
たくさんいたなんていうのは聞いたことがなかった。
まあ、勝てたのだからそんなことはどうでもいいのだけど。

私と契約してくれた子は、彼らの中でも大人しめの子のようだった。
これから長いことお世話になるだろうし、ちゃんとした名前を付けてあげたいところなんだけど、
私は正直言って名付けに自信がない。
サンドちゃんの名前だって、お兄ちゃんに頼んで考えてもらったものだった。
…お兄ちゃんは天使に詳しい。だから、いつも天使にちなんだ名前をつける。
そのことは人に隠しているようだったけど、どんな知識だってないよりはあるほうがいいと私は思う。
最近はあんまりしてくれなかったけど、お兄ちゃんがしてくれた天使の話は好きだったし。
でも、サンドちゃんはどんな天使の名前から付けたんだっけ？
…まあ、なんでもいいか。

とりあえず、このままじゃまるで野良犬だし、適当な布を巻いてスカーフにでもしておこう。
今はあんまりかわいい布、持ってないんだけど。

キラーウルフは黙って尻尾を揺らしていた。

自分の紹介は自分でしたいらしい。

そう言い、アルキメンデスは剣を高く掲げた。
決意を新たにしたのか、……ただカッコつけているだけなのかは分からない。

サンドちゃんを軽々と持ち上げる。

なかなか低い声だった。