コガネ村村長の言葉に無言で頷くサボテンニンジャの頭領。
頭領が手をかざすと、その背後に控えていたサボテンニンジャらは音も無く消えた。
最後に一人残った頭領も軽く一礼すると同じく音も無く消えた。

　サボテンニンジャらが完全に失せたことを確認すると、
村長は雑草王女こと絃繰緑の傍に寄る。

　コガネ村は新王即位以来の混乱に乗じて、ネクターの売買を手始めに様々な事業を展開。
この僅かな期間で巨万の富を築くことに成功した。
成功の要因としては、虹色天幕からの指令に従いネクターを備蓄していたこと。
もう一つは、コガネ村に駐留する緑ら虹色天幕一行の武力。
ある程度ネクター関連の事業で利益が上がっていた頃、
それこそ暴力を背景として利益を奪い取らんとする輩が居るには居たが、
雑草王女らと敵対してまでコガネ村に攻め入ろうとする程の胆力を備えた者は居なかった。

　国王の首がすげ変わろうと、自衛が可能なだけの暴力を備えていさえすれば安泰。
それこそ嘗てよりその業前のみを頼りとして隠れ里を構えているサボテンニンジャらがそれを証明している。
現在の財力に加えて暴力を備えることができれば、鬼に金棒。
そして、更には、

　虹色天幕一行はメルンテーゼ各地を蹂躙して金銀財宝を奪い取るという
実に次元盗賊団らしい仕事を続けた結果、
一揆参加者内の長者番付に名を連ねるに至った。

　緑は嘲笑ともとれる微笑み浮かべると踵を返す。

　緑の後ろ姿を頭を垂れて見送る村長。
その表情は緑がそうであろうと予想している通り笑を隠しきれていない。