まず、最初に。私はこの世界の人間ではありません。
私に最初に声をかけてきた時風はなんとなく気付いていたのではないでしょうか……そうですね、貴女の言葉で言うのなら「風が違う」のですから。
私は、ある世界で受けた任務の帰り道、突然この世界へと迷い込んできました。
原因はわかりません、帰る手段もわかりません、うろうろと彷徨っていたところを時風、貴女と出会い、それからルリアンナさんと出会い——今に至ります。

……私の戦闘技術ですか？
そうですね、死火、貴方の言うとおり、一般人が独学で身につけたような技術ではないでしょう。
私の身体に染みついている技術は、一言で言うなら殺しの技術です。
……ええ、今では昔の話ですが——私は人斬り、殺人鬼でした。
私が生まれた家がそういう家でしてね、私は幼い頃からそういった教育を受けて育ちました。

今ですか？今はもう止めて違うことをしていますよ。
一つの世界を破壊したくらいの頃、私の前に一人の男が現れました。
彼は私に勝負を挑み、戦い、そして——私に勝ちました。
人斬り鬼桜が死んだのはそのときでしょう、彼は何故か私を拾い、自分がリーダーを務めている引き込んで……以降は殺人鬼ではなく、その組織の一員として過ごしています。

……恐ろしいですか？そうでしょうね。
殺人鬼だった人間なんて、恐ろしいに決まっています。
私が嫌になったなら、契約を切ってフリーのエンブリオに戻ってください。
私は、止めませんから。