ヴァルトさんから預かったものを分かりやすいように袋に入れ、鞄の中にしまっておく。
しばらく預かっておいてください、という言葉と共に手渡されたそれらは、まだ私が見たことのないものばかりで、少し驚いてしまった。
もし、此処にあの子がいたらきっと面倒なことになるだろう——そんなことを考えて、思わず溜息をついていると、祓に軽く服の裾を引っ張られ、私は彼女のほうを見た。

「……どうかしましたか、祓」
「あ、えっとね……」

祓は視線をあちらこちらに向けてから、やがて意を決したように私を見上げる。

「……玉藻のこと、よく考えたら何も知らないなって思って……玉藻のこと、教えてほしいの」

彼女の言葉に、目を細める。
私のことを何も知らない——それは祓だけではないだろう。
時風も、槿花も、冬青も、血玉随も、死火も——皆、私のことを何も知らないし、私も彼女たちのことを何も知らない。
目を細め、考えて、再び溜息を一つ。

「……わかりました。では、私のことを少しお話しましょう」
「本当っ？」
「ええ。……ですが、その前に」

不思議そうな顔をした祓に、私は言い放つ。

「皆を集めてください。……そして、私の話を聞いて、私が嫌になったり怖く感じたら、即座に契約を打ち切ってください」

私は、綺麗な人間ではないから。