前を歩く仲間たちの数歩後ろをついて歩く。
あの庭師を倒すためという、個人的な理由で離れたのにもかかわらず、再び仲間として迎え入れてくれた二人にはとても感謝しなくてはいけない。
……なかなか、そのチャンスは訪れてくれないが。

「……まあ、あとは……玉藻、どっちかっていうと素直じゃないしね……」

小さく呟いた時風をじとりと睨めば、彼女はくすくすと笑ってペンダントの中に入り込む。
この世界に来て17日目、私にもだいぶ慣れてきたのか、最初に出会った頃と性格が少し変化してきたように感じる。
仲間たちには気付かれないよう、小さく溜息をつくと、いつのまにか肩の上に乗っていた祓が楽しげに笑っていた。

「……祓？」
「あ、ごめんなさい。……時風、マスターのことが大好きなんだなーって思って」
「……は？」

彼女の呟きに目を細めると、祓は小さな指を振りながら言う。

「時風、本当は悪戯っ子なんだ。気に入った相手には悪戯を仕掛けてみたり、ちょっかいをかけてみたり。風のエンブリオのシルフらしい性格っていうか」
「……はあ」
「ああやって余計なことを呟いてみたりするのも、気に入った相手にしかしないことなの」

それは、つまり——時風に気に入られているということだろうか。
目を細めたまま、もう一度溜息を一つ。

「……どうかと思いますけどね、それ」
「まあまあ……シルフっていうのは大体そういう性格だから……許してあげて？」

少しだけ困ったような笑顔を浮かべた祓を横目に見て、私はもう一度溜息をついた。

そう言いながらユーノは自分が首元に巻いてるマントから何かを取り出す。首元の笛がチリンチリンと鳴ってます。

取り出されたのはアクセサリーみたいな何かで、よく見ても一見タダの長棒みたいに見えます。

そうこうしていると長棒は普通に棍棒くらいの大きさに早変わりします。でも、その状態でも刃がありません。

しかし、ユーノが大きくなった棒を構えると。柄の先から小ぶりの蒼い刃が出現します。どうやら魔力で形成される刃、のようです。