この世界にやってきて、9日目。
一人とエンブリオ二体という私の旅だったが、9日目で一人の青年と出会った。
恐らく私よりもこの世界での生活が長く、私よりも強い人間——彼と出会ったとき、襲いかかってきた兵士をぶちのめしたあとだったというのもあって、手合わせを申し込みたくなった。
けれど時風と槿花に止められ、彼と少し言葉を交わして——そのまま拾われるように、彼の後をついていくことになった。

「……ねえ、ねえ、玉藻」
「なんですか、時風」
「……玉藻、他の人と行動とか、できるの……？」
「……できますよ、これでも一応」

移動中、時風に話しかけられて溜息を一つ。
これでも一応組織に属している身だ、他人と共に行動することなら慣れている。
けれど——。

「……ただ、なんだか少し緊張するだけで」

私が呟くように時風に答えたのと、彼が足を止めるのは、ほぼ同時だった。

（そう呟きながら、そっと青年の後ろから一人の少女が顔を出した。少し落ち着かなさげに視線を彷徨わせたあと、小さく頭を下げる。）

〜ほんの30分くらい前〜

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貴女は銀髪な感じの妙にゆるそーな感じの女の子に声をかけられた感じです。