——マリオンの手記——

　生き残るためなら必ずしも勝つ必要はない。
　大事なのは耐えるなり逃げるなりして、負けないようにすること。
　本人の気質もあったからだけど、その方針に則って私はラクサに教えてきた。
　今に始まったことではないけれど、だからこそ同じ考えの相手だと押し切れずに終わってしまう。
　ならば意に反しても気質に反してでも攻めるための、勝つための教えを授けなければならないのかもしれない。
　外敵を討ち、そうでなくても追い払うために必要なのはやはり力なのだから。

　知識は重荷にならないとはいえ、力を抱えるというのは相応の精神が必要。
　それでも追い込まれた時の逃げ道として、選ぶことができる手段があるというのは悪いことではないはず。
　あくまでも、選択するのは本人なのだし。

　教え甲斐があるとは言えないけど、手が掛かる子ほど可愛いものなのよね。