いつかめ。

蠍さんをぱぱっと退治して、倒れてた人を岩陰で介抱してあげます。

倒れていたのは、綺麗な黒翼の女の人でした。私よりもちょっと年上に見えます。

翼の色は違うけど、翼を持つ人に初めて出会えて、とってもとっても嬉しかったのは内緒です。

・・・でも、如何してこんな所で倒れてたのかしら？


倒れてた理由を聞いてみると

黒翼のお姉さん──『ナナ』さんは、なんと食料もお水も用意せずに旅に出て

ここまで来たところで力尽きたらしいのです。む・・無計画すぎるの・・・


私の持ってる食料とお水は少ない量で食べても、一人で数日分くらいしかありません。

二人で分け合うとあっという間に無くなっちゃいます。

その上、ナナさんは旅に必要な装備が殆ど持ってない状態です。

なので私は、ナナさんと一緒にナナさんの最低限の装備や食料を整えようと、一度あの広庭の方に戻ります。


・・・ちなみに蠍さんはあの後、食料にしました。

畑を荒らす害虫さんですが、焼いたら割とおいしい食料にもなります。味はエビっぽい味がしておいしいです。


*　*　*


弱ってるナナさんを気遣いながら、のんびりと広庭へ向かう道中。

ワンワンという咆える声が聞えると、野良狼が現れました。

ご飯のじゃがいもさんを連れてるので、狼さんは狩りの帰り道だったようです。

意外と狼さんがベジタリアンなのでした。ちょっとだけ狼さんに感心します。

感心ついでに、せっかくなので必要だった毛皮を狼さんから頂戴しようと思います。

・・・・・・？

何だか狼さんが私の方を見てぶるぶる震えてます。うーん、風邪でも引いてたのかしら？