ルリとミニドラゴンは隅の方に行き、一緒に絵本を読み始めた。

この人形頭を引きちぎってやろうかと内心思いながらもセイレーンは弁明する。

積み上げられた薄い本に囲まれ、アルルゥは恍惚の表情を浮かべていた。

エルとセイレーンは、うず高く積み上げられた薄い本の塔の一番上を手に取り、ぺらりとめくってみた。


『——タクシーを降りた招蛇を、カーンは荒々しく引き寄せた。
「そんなにあの娘たちが大切なのか？」
いつも以上に真剣な、少し怒気を含んだ瞳で見つめられ、招蛇は視線をそらす。
「そりゃあ…大切さ。マネージャーの仕事は、あの子たちを守ることなんだから…」
「だからって…アンタが身体を売って仕事をとることないだろうが！」
招蛇を掴んだカーンの手が怒りに震える。
その姿と言葉に、招蛇は情けなさと罪悪感がこみあげてきた。
「仕方が…ないじゃないか。俺の力で、仕事がとれるなら…んっ！」
吐き捨てるように弁明する招蛇の口は、カーンの唇で塞がれた。
「おいおい…泣きながら言うことじゃないだろ？」
「……っ！」
自分でも気づかない内に零れていた涙を、カーンの太い指が拭う。
「泣きたい時は、思い切り泣けばいい…オレの腕の中でな、修務」
「…っ、カーン…っ！」
荒々しくも頼もしい太い腕に優しく抱かれ、招蛇は、声を上げて泣いた——。』

もうマネージャーのことを汚らわしい目でしか見れないかもしれない、と思うエルとセイレーンだった。

※Creditsは現在の日本円とほぼ同じ感覚です。