12日目

記：＊＊＊＊＊＊

　——メルンレーゼ某所、某酒場

　レジスタンス達が活動を始めてからと言うもの、メルンレーゼの憩いの場であった酒場はさらなる賑わいを見せていた。というのも、一揆参加者たちが仲間や傭兵を雇うためのいわゆる“たまり場”となっていたからである。
　大人の社交場である酒場には似つかわしくない少女、ケル・サーベラスも新たな出会いを求めて酒場を転々としていたのであった。

「ポーンにリリスかぁ……」

そうつぶやいたケルの手には一枚のメモ書きがあった。掲示板に貼られていたのであろう、張り紙には丁寧でそれでいて可愛らしい文字で参加者を募集する旨が書かれていた。
ほんの少し目に迷いの色が浮かぶ、が、すぐさま普段通りの勝ち気な表情に戻る。そして、小さく頷いた後にメモ書きを折りたたみポケットにしまうと、酒場を出て未だ賑やかな夜の街へと、未だ見ぬ新たな出会いへと向かったのだった。

「もう、足手まといにはならない……」

そう、心の中で小さくつぶやいて


§§§

記：ケル・サーベラス

またパーティーに参加することにしたの。今度は私と同じくらいにこの世界に来た人達……。どんな人だろう？ 楽しい人、優しい人だったらいいな。

……今度は私が皆を守れたらいいなぁ

私は見かけからは想像もできない話に思わず声大きくしてしまう。