樽薔薇、瀬川本町、霧抜、紅城、網田町に潜む異型の獣を攻略し、残るは風桜町。以前に森の中に潜む獣は倒したものの、あと三体を残していた。
実際にはそのうちの二体が前日に突然と反応が消え、どういう訳か獣があと一体にまで減るという事態が起きている。原因はまだわからないが、この世界での獣の生き残りが残り一体となったことには変わりはないようだ。
獣は現在、廃墟となったビルの中に潜んでいる。このビルはあと二日もすれば壊される予定だが、人の多いタイミングで獣が姿を見せる前に仕留めておきたい。
俺達は各自班を組み、ビルの中を調べることにした。俺はルーディとコールと共に、現在はビルの三階を調べている。
ご丁寧にビルの中は綺麗さっぱり片付いている…、物が何一つ残されていないのはありがたい。邪魔なものが少ないほうが見つかるものも見つかりやすい。

こちらが先に進み続ければ、足音に気づいたのか…遠くから何やら獣の声が聞こえる。接近している俺達に対し、えらく警戒している様子だ。
距離が近づくにつれ、強くなる獣の異臭。獣との距離は確実に近づいている。
ご丁寧に大きな穴が開いた部屋がその先の左にある…、隠れているとしたらまずそこか…。

ルーディがタブレットを俺に渡して前に出ると、慎重な足運びをしながらゆっくりとその先へと向かっていく。
しかし動き方が随分と慣れているというか…、まるで映画さながらである。

『GURURURURURURU……！！』

あぁ…、やっちゃったよ。今のでかい声を聞いた途端にさらに警戒している。
こうなっては仕方ないと判断したのか、とうとうルーディは一気に前に出た。
部屋の中を見るも…、その時は獣の姿が見られなかった。けれどタブレットには反応はまだ映っている。
というより…、明らかに距離がえらく近い。まさかとは思うが……。考えているうちに、既にルーディは部屋の中へ……。

『GURAAAAAAAAAAAAA！！』

その時、ルーディの頭上から勢いよく丸飲みしてきた長い首。
ルーディの身体が獣に飲み込まれると、伸びてる首はそのまま縮んでいく。

コールは人型から蒼刀へとその姿を変えると、俺は蒼刀となったコールをその手に握った。
部屋へと入って天井を見れば、そこには身体の中にルーディの入った異型の獣が天井に張り付いていた。

獣は先端に棘のついた長い尻尾を伸ばしてくるも、俺はしゃがんで回避した後に前へと走る。
広いスペースへと移動すれば、こちらも身動きが取りやすい。
獣の腹部がもぞもぞと動いている…、ルーディも中でじたばたしているのだろう。

天井に張り付いた獣がぼたっと降りてくる。腹部が床にあたれば、ルーディがぎゃあと声をあげた。
しかしこの手の獣はいざ獲物を食らった後はしばらくは丸飲みできないのがお約束だ…、さっさと片付けてしまうに限る。
獣の尻尾が再び迫るも、俺はそれを回避しながら前に出ては勢いよく獣へと己が刃を振るった。
蒼き光によって作られた蒼刀は獣だけを綺麗に真っ二つに切り裂いては、その刃に触れた肉は蒼き光に徐々に焼かれていく。

『GURAAAAAAAAAAAAA！！』

獣が断末魔をあげながら、獣の体内からはルーディが解放されていく。
体内のどろっとした液体は外気に触れれば一瞬で白く濁っていく。
ぱたりとその場にうつぶせで倒れているルーディは、どういう訳かさっきまで身につけていた装備も綺麗に溶かされたのか、素っ裸の状態で倒れている。

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翌日…、この日のルーディは今の身体のアップデート作業があると、元いた世界に一度戻っている。
ルーディは生みの親に十三体の獣のうちの二体の獣がなぜ反応を消したのか調べてもらったところ、その原因がつかめたようだ。
どうやら次元干渉が発生していたらしく、それによって獣のうち二体は別の世界へと転移したという。その飛んだ先も…、どうやらメルンテーゼのようだ。
何者かが別世界の生命体をメルンテーゼへと無理やり召喚した…といったところなのだろうか。となると…それをやったのも、王に使える奴らだろうか？
SisterSも既にメルンテーゼに向かい、獣の討伐に動いている。しかし実際に獣が今どこにいて、どうしているかまではまだ把握は出来ていない状況なのだが。

今日は次の戦いまでの残された時間の中、この世界でゆっくりと身体を休めておく。
明日には水辺での戦いを終えたら街へ戻り、その後はリフィと時間たっぷり過ごしていく予定である。
そういえばこの前リフィは次のデートプランを考えさせてほしいと言っていたが…、明日どんな感じになるのか楽しみだったり。

とりあえずコールのこめかみをぐりぐりしておく。
きゃーといいつつじたばたするコール…、梅干の効果は絶大である。…よい子は真似しないように。

…と、そんなやりとりをしている間に近くに発する転送ゲート。
ルーディが帰ってきたようだ…、しかし今日は随分とアップデートがはやいものだ。
普段ならアップデートにまる一日か半日程度はかかっていたが…、作業効率があがったのか、それとも今回は調整が少なかったのか。

…何かいいことでもあったのか、随分と清清しい笑顔で帰ってきた。
着地した瞬間、こっちに向かって決めポーズしたりキラッ★とか視線送ったり。
……とりあえず、何があったのか聞いておけばいいのか？

ルーディの身体をよく見てみると、以前と比べて何か違和感を感じた。
普段ルーディのことをよく見ているだけに、気がつくのもそれなりにはやかった。しかしこれはちょっと気づきにくいか？
いや…、大きさからすれば十分気づけばなるほどと思う。…そういうことか。

ルーディは、俺の手を掴めばそのまま自らの胸に押し付ける。
そんなことまでして確かめてほしいか、お前は……。まぁ…、確かに柔らかいけど。
胸がでかくなっただけで中身は対して変わってない。中身もアップデートしていいんじゃないか、これ。

コールの全身が光りだし、コールの身長が少しばかり大きくなる。
さらにはバストの大きさがみるみる変化していき、ヒップも程よいサイズまで大きくなっていった。
光が止めば、そこには全身少しばかり大人になったコールの姿。相変わらず格好はギリギリだが。

顔がまっかである。
いきなり惚気られて中てられたようだ。

チラチラと意味ありげに正義を見ている。

アクスをぶんぶん振り回しつつ