「……。四匹目、か」
「俺、バロロコン、言う。これから、よろしく」
契約を済ませると、先ほどまで牙を剥いていた筈のバロロコンはすっかり大人しく、口調も片言になっていた。これが彼本来の姿なのかもしれない。
「ゴレムだ」
「サラマンダーだ、頼むぜ新入り」
「キラーウルフ。よろしく頼む」
他の三匹も思い思いの挨拶を返す。そんな事をやっているとアンナを介抱しているジャンクエンプリオ達が旅支度を始めていた。新しいエンブリオと素材を求めて砂地にに移動するという。未だに人狩りの失敗が尾を引いているのだ。
「大将、どうする。俺は燃やせれば何でも良いぜ？」
「……」
視線の彼方にジャンク達に運ばれるアンナが映る。彼女の心理構造は未だに意味不明だ。もっとも、俺も興味を持ったからあの狩りに消極的ながら乗ったのだが。
視線をクウに移す。こちらも何を考えているのか分からない。姉を気遣う様子もないばかりか、このまま水辺を行くらしい。
「話さねば、分からぬか」
そのままヤタに視線を持っていく。こちらもなかなかに読み取れない。いつか機会が来たら会話を持たねばならぬ。

「……なんと言うか。改めてなんとも歪な仲間だな」
「主、何ぞ言ったか。」
「なんでもないぞ、ゴレム」
「そうか、なら、行くぞ」
「……ああ」

未だ、旅路は続く。俺がこの世界に飽きる日まで。

ぶつぶつと、黒い青年の口の端から言葉が漏れる。