どうだ、完膚なきまでに打ちのめされた心情は。

……。

貴様の虚勢も最早ここまでだな。時間切れだ。
……だが、この世界が終わるわけでもあるまい。

…………。

…………。
いつまで不貞腐れておる。

……わたしの不甲斐なさに呆れてた所。

一人で何もかも背負おうとした結果ではあるまいか。先は見えていただろうに。
して、どうする？　このままここで停滞の限りを尽くして、一揆そのものが終わるまで待つのか？

……大丈夫。まだ、歩ける。
もうあれとは戦えないだろうけど……。

いい加減にして貰いたい所だな。
もう大丈夫などと見栄を張るのは止せ。何度言えば理解る？

………………。うん。ごめん。
……もう疲れたな。
こんな極めつけの弱音だなんて、仲間にも申し訳立たないけどさ……。

お前の言う《仲間》などというものはまやかしよ。
端から共に戦っていたつもりになっていただけだ。
元からそういう寄せ集めだろうに。

ひどい言い方するじゃないか。……概ねその通りなんだろうけど。
顔色を伺い続けて、自分で全て何とかしようだなんて思い上がったことをして、
結局わたしは誰のことも本当に見ていなかった気がするよ。

お前の嘆願すら気付かれぬようであれば余程だろうな。
所詮はまやかし相手に一人芝居を打っていただけよ。

わたしはどこから間違ってたのかな。
どこまで心の眼まで曇らせていたのかな。

さあな。お前も私も、他存在の心など見透かせるはずもあるまい。

それもそうか。

感傷に耽る時間も惜しい。先へ進むぞ。
——例えこれ以上の先がなくてもな、メフル。

ありがとうユニコーン。“清らかな乙女”でもない私のことを慰めてくれて。

そんなことをしたつもりはないぞ。
穢れまみれのその体、放っておけば腐乱死体になるのもこの神聖な土地に悪いからな。

酷いなあほんと。

——離別するのか？

……、もともと私が招かれた側だから、どうするかは自由なんだけど。
とりあえず、私はまた一人で方方へ向かおう。
ここまで来て見捨てるだなんて風に言われても仕方ないけどさ。

見捨てるも何も、元よりお前がそこまでする義理はないだろうに。

あはは。ご尤も。裏を返せば、不要な期待をしすぎてたのかもね。
……自己満足と謗るなり好きにしてくれ。
ユニコーン、お前はまだついてくるのかい。

ここまで繋がりを深められては、絶たれた時の反動が大きい。
暫しはまた共にしよう。

……助かるよ。

……失望されただろうか。
……そもそも期待されていなかっただろうか。
——どちらにしたって、ここまで来たんだ、前に進むしかないんだよね。

物騒なのはこの騒動の間だけではないでしょうか。叛乱が何かしらの形で決着し、それからもうしばらくもすれば、この世界なりの日常へと戻ることとみています。
常日頃より争いの絶えないほど無秩序な世界であるようには見受けられませんでした。

……ナスル様のいう占いとはどのようなものなのでしょうか？　私の世界では、占いは日常のほんの彩り、添え物程度の、信じるに足らぬ程度の存在なのです。
その、魔術というものも、この世界に来るまではおとぎ話の専売特許でした。今だ目の当たりにするたびに多少なりとも驚きを覚えるほど疎遠なものです。
ええと、それと、……

魔術を扱う術を得たことや、この世界へとやってきたこと。
……恨みや後悔は、そこにありますか？

ふふふ。楽しい焼肉会しましょうね！
白いご飯にパテ、野菜も甘いの持って行くから！
苦手なものがあれば先に教えて頂戴。デザートの希望も教えてくれるといいの

楽しむのが何より大事だぞ。
楽しいと思えば熱が入る。熱が入れば上達するさ

エネルギーを温存するために動かない動物は結構いるけれど、人に飼われて餌の心配がないのなら少しぐらい動いてもいいわよねぇ。
夜中に運動会とかもしないの？　猫の定番だけれど

暑い場所の場合は腐らないように水分を抜く、つまり干物にするとかが多いものね。
湿気があるところがだめなのは、同じ理屈で腐りやすいからって。
大抵の食料は日が当たらなくて涼しい——つまり風が通るところが保存に一番良いって言うし

人間の贅沢行き着く先は食文化ってね。
ナスルも今は日々の鍛錬とか移住先のあれこれで大変でしょうけれど余裕ができたら美味しいものめぐりに目覚めると思うの。
グルメな友だちになって一緒に巡って頂戴な

ナスルの背中、きっと今はとっても頼れるものに見えるはずなの。
思いだけじゃなく力を背負った背中。仲間を守るだけじゃなく、鼓舞することが出来るでしょう

何がどう転ぶか本当にわからないわね。
でもそれは間違いなく、ナスルと仲間が築いてきた道だからこそ開けた世界なの。
胸を張って武勇伝として語り継ぎなさいな

気心の知れた人間だけなら数が居ても気にならないけれどね。
やっぱり見知らぬ人は、誰も見ていないとしても視線が気になってしまうもの。
っふふふ。でもぷるぷるのお肌になったナスルを一番に見られるのは役得に違いないわ

その肌を保てるよう、美容に良いお飲み物を用意しておきます

まぁ、そういう風に襲ってくる時点で手心を加えるべきでないという相手なのは分かっているのじゃがのぅ。

妖狐にとって性別はさしたる問題では無いのじゃよ。変化で、男女にもお互い化けられるしのぅ。

あー…ルナやかかさま、ねねさま達にもよぅ言われるのぅ…好きすぎて回りが見えなくなることがあるから、注意するように、とのぅ。

うむ、うむ…肝に銘じておくのじゃ。つまり相手の事を考えた上で、ワシ自身も考えろということじゃなっ！

よぅ分かったのじゃ！ありがとうのぅ、ナスルッ♪…良い心構えを説いてもらったのじゃ！

どうしても……戦わないとだめなんですね……

お腹痛いんで帰っていいですか！

侵す者に粛清を。穢す者に制裁を。