−幕間−　


暗闇だった。

ただ、ただ、暗闇だった。

音も熱も無く、感触も、感情さえ縛られ囚われた。

暗闇、だったんだ。


（ Chi i bei di m'adduce ancora. ）


無機質に揺蕩う事も出来た。
そうしたいと、うすぼんやり考えていた。
それは、本能が知っていたから。
無知の意味を、知っていたから。


（ Chi i bei di m'adduce ancora. ）


確定された不確定要素。
予定調和のイレギュラー。
『無に等しい一』は、『唯一なる零』に成ってしまった。
——どうして自分が、なんて問いかけは。
生まれた瞬間に明確な解答を以て現実として突きつけられた。


（ Chi i bei di m'adduce ancora. ）


暗闇は。
深淵を経て地獄へ到った。


（ Chi i bei di m'adduce ancora. ）


……——それは。ひょっとすると。
分不相応な『願い』を擁いた愚か者に対する、
最初で最後の、
最小で最大の『呪い』だったのかもしれない。



……——何故

　　　何故、君は。自らその身を、更なる痛苦に浸そうとするんだい？

なら、こうして。ここで、揺蕩っていた方が楽なんじゃあないのかい


——そう　そうだね　……それで、何か変わる？


——変わらないさ。けれどその代わりに、平穏は約束されて——
　　　　　　「なら　行くしかないでしょっ」



　　　　　　　　　メルンテーゼ
　　　　　　元素の世界


——斯くして。『扉』は、開かれた。

往く。
果ての無い道標を。

　

　
　
　
　

　

　

　

　
どうやらこの少女。缶コーヒーを知らないらしい！
缶をしゃかしゃか振っているぞ！！！！

ポンチョをはためかせながら