気がつけば三人組となっていた。

昨日の立会の後、クリステル女史とパーティーを組むこととなった。
お互い今後の侵攻先に対して、なにかこだわりがあるわけではなかった上、一人で進むにはいつか限界が来ると感じていたことも確かである。侵攻するたびに遭遇する障害の強さが増している。
彼女が妙に興奮気味であることは気にはなるが、少なくとも悪い人間でないことは確かである。

商売をしていても感じることだが、妙に客の多い日というものがある。めぐり合わせとでも言うのであろうか。
以前砂地から移動していた時に挨拶を交わしたことのあるファイ少年とも出会い、私はたった数刻で1人から3人の集団となってしまった。
一人よりも二人、二人よりも三人。できることはそれだけ大きくなる。この急激な変化は歓迎するべきことなのであろう。

装備も一部新調し、私自身も力をつけた。仲間を得て集団としての力も上がった。
ならばそろそろ砂地にいるという王国側の人間に接触してみるのも良いかもしれない。


昨日の取引で内密に賞金首の一人であるオルガ＝オルがノール女史と接触することができたのは幸運だった。
彼女はこちらの少しばかりの作業の礼にとこの一揆の裏側、参加者同士の略奪と敗北したものの末路について教えてくれた。

略奪者の数は現在およそ五十。一時期はもっと数がいたのだが主催者側が賞金をかけることで賞金稼ぎの手により数を減らしたとのことである。
当然賞金首となった略奪者も身を守るために横のつながりが生まれ、交流や取引が行われているようである。
彼らが知ることの出来る情報には他の賞金首が負けた後の末路も含まれ、ルリアンナの管理する農場で強制労働させられていることがわかった。

晒し首でないだけ甘いのか、労働力が足りないのか。伝え聞くルリアンナの言動は元から農場での労働が計画されていたようにも思える。


ゴブリンがつぶやいていた「王様は我々の希望」といった言葉、賞金首の末路と主催者の言動。抵抗者側の情報だけでなく、王国側の人間の言い分も知る必用があるのは確かだろう。



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ＲＪはひとしきり胸を揉んだあと
非常に気難しい顔をして帰っていった。

……了承を得るどころか自己紹介すらされてなかった気がするが
彼女にとってそんなことはどだい関係ないようだ。

ポケットからの強烈なアッパーカットがいつものようにキーシュの顎に炸裂する

いつも通り飄々とした笑顔を浮かべるケンドリック。
しかしその笑みはどこか固い。

銛を素早く逆手に持ち変え、弓を引き絞るように右手は後ろへ左手は前へ。
深く腰を落とし、“漁”の構えを取った。