【一揆参加2日目】

「お前、今の実力で勝てるとでも思っているのか？」

道連れの言葉は辛辣であった。

昨日我々は一揆の発起人に参加を認められ、一通りの知識と城内へ至るため基本的な説明をうけた。

目的地である城内に至るためのルートは全部で5つ。

【平原】【水辺】【砂地】【森林】そして【山岳】

後になればなるほどその危険度は上昇すると言われている。

私が選択したのは【砂地】。枯れた土地と呼ばれる荒野。絶望的とまでは言わないが相応に困難なルートである。

しかもこの厳しいルートで私はわざわざ敵を呼び寄せる真似までしたのだから相方が抗議するのも当然ではある。

無論私にだって勝算が全くないというわけではないし、この行動にだってしっかりと意図がある。

私が求めている存在は ザントマン 。その恵まれた肉体のみに頼らず、獲物の意識を奪う技術を身につけることで、この荒野において一定の地位を獲得している種族である。

彼らはその言動に反して、対価や気分によっては我々と共に旅をしてくれるらしい。



前回のラルフ氏との模擬戦闘で私が学んだことは以下の2点。

・この世界においては自身の腕力も大事であるが、それ以上にエンブリオと呼ばれる他種族の助力が大きな意味を持つこと

・私が今後生き残っていくには伸ばす力の方針をある程度決めておく必要があること



そして今後伸ばすべきは頑強さとある程度の腕力であるとの結論に至った。

そのような目的を持ち、助力を得られそうなエンブリオを探したところ、ザントマンと呼ばれる砂漠の民に白羽の矢が立ったのである。

ラルフ氏に聞いたところ、一揆が始まってから既に7日間程度経過しており、一部の参加者は既に城内への侵入を果たしているという。

この状況下で我々後発組が先行者と同じ動きをしていても意味が無い。後発組ならではの情報を駆使しつつある程度のリスクを犯すべきであろう。




成功した場合の利益と失敗の不利益、それらを考えた上でこの地を踏んだ。踏んだはず、だった。




だが、これはどういうことであろう。求めていた相手が理想的な布陣で目の前に存在している。

そうであるのにこの重圧のなんと大きなことか！私は彼我の実力差を見誤ったのだろうか。

だがここで何の収穫もなしに退く訳にはいかない。




この一揆の真相を一刻も早く知るためにも。




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