不思議な空気を、感じましたの。

どう、表現をすればいいのか、わかりませんけれど。

強いて言うなら。——そう、私と似たような。

或いは、懐かしい、……いえ、これは違いますわね。



私が今、彼女の傍にいるのは、あくまで観察のためですわ。

興味がありますの。えぇ。

時折眠りについたあと、苦しげに呻いていることも含めて。

本人は、自覚も無ければ全く覚えてもいないようですけれど。

　　/* 或る人形の独白 */

驚きからか、眠たげな瞳が僅かに見開かれる。付け足された言葉に一つ頷いて。

少しだけ、言葉を探すように、唇を閉じ。瞬きをして。

どちらにしても、良いものではないのかもしれない。
そんな思いは言葉にしないまま、噤んで。

高圧的な声色とは裏腹に、その表情は複雑そうに、眉根を寄せて。

感謝いたしますわ。と微かな笑みをひとつ。
小さなドールは下僕を従え、敵に向かう。