とわちゃんがいなくなりましたねーって気付くのは、ぽこちゃんがきょろきょろとした時です。

ぽこちゃん、えらいですねー。
可愛いからお菓子をあげました。
その時に休憩もできて、のんびりできましたけど。
残念なことに、美味しいお茶が足りませんでした。
今度は、お茶も持って歩きましょうねー。
でも荷物が多くなって困りますわねー？

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「あらまあ、迷子でしょうかー？」
　ゆったりとした動作で首をかしげる飴李。それを追って一緒にこてりと首を傾げた穂湖のサイドテールがゆらんと揺れた。
　可愛い仕草に微笑んで、お菓子をあげようと荷物を探る。
　目的の焼き菓子を手にした所で、他から当てられる視線に気がついた。
「あら？　ゆーちゃんも食べますかー？」
　お菓子、と続けてふたりに差し出したのは、飴色の焼き菓子。
　小さな歓声を上げた穂湖がぴょんと飛び跳ねたと同時に、お面を「＞▽＜」に付け替えた。
「いただきます、ですっ」
「はいどうぞー」
「いや、……どうも」
　菓子を求めていたわけではない幽も、違うと言いかけた側からぐいぐいと押しつけられるように受け取ると、近くの樹を背もたれに座り、探しに行くよりはこの場でまとう、と態度で示した。
　飴李は、「あらまあ」と口に出さずに呟いて。
　残った焼き菓子のひとつを自分の口に入れて、もうひとつを丁寧に包み直した。
「とわちゃん、早く帰ってくると良いですねー」
「ですですっ」

最後のひとつは、彼女の分。

とことこと。影は歩いていく。