[SummerVacation]
・夜


誘ったの僕だし、僕が出すべきかなって思っていたら、ちょっと考えてるみたい。

「じゃあ、私も一緒に行くよ。行こ？」
「え、あ、うん。わかった、じゃ一緒にいこっか」

僕は焼きそばとちょっと多めの麦茶を。
ゆずりはちゃんはかりんジュースの炭酸割りとかき氷を買って川辺へ。


川辺にはちらほら人の姿が見受けられる。
カップルもそこそこいるみたいだ。
隣に目をやると、ゆずりはちゃんが嬉しそうな顔でジュースを飲んでいた。
そういえばかりんジュースって何だろう。聞いたことがないなと思って。

「ね、かりんジュースって何？　飲んだことないから気になって」
「んー？かりんジュースはかりんジュースだよ。これはかりんソーダかな。
　かりん……柑橘系の果実の果汁をソーダで割った感じ。あ、飲んでみる？」

って気軽に言うけどいいのかな……前もだったけどあんまり頓着しないのかな？

「んー、それじゃちょっとだけ」

しゅわしゅわして甘い……けど、これかき氷とだとかき氷のシロップと混じらないのかな。

「甘いものばっかりだと味ごっちゃにならない？　焼きそば食べる？」
「えーと……ごめんね。今はこれがあるから大丈夫だよ」
「ん……わかった」

そういうならいいかなと、焼きそばを食べながら花火を待つ。
まったりとした時間だけど、一人とは違ってちょっとどきどき。


「あっ、花火上がったよ。……うん、綺麗だよね」
「そだねー。一揆中だってこと忘れそうになるよ」

正直何故巻き込まれたかわからないし、なんとなく参加してるけど。

「今日は付き合ってくれてありがとうね。楽しかったよ」
「もう、私の方から言いたかったのにー……
　私もだよ。付き合ってくれてありがとう。日常の中の特別ッて感じで、とっても楽しかった！　アルト君っ」

……そう言ってもらえると誘ったこっちも嬉しいな。
こういうことがあるならたまには巻き込まれるのもいいかもしれない。




今回の日記には、Eno1144番　下柘植 杠　さんをお借りしました。

一瞬、此方の言葉を理解出来ている方の人、なのかとも思ったりもしたが。
ただ単に此方の言葉を聞いて予測しただけだろうと結論付ければ、また同じ言葉を繰り返して、差し出したその手を掴んで、握手を交わす。

笑顔。木。耳。尻尾。無い。
その言葉、意味、それを理解するたびに、うん、うん、と頷いた。
…人間、についてはちょっと判別しかねたが。
通行人、人、性別的なもの、色々考えられただけに。

ただ、彼が、この笑顔や木を自分に示して何を話しかけようとしているのかはどうしてもわからずに、うん？と首を捻り。

後頭部の辺りを掻いて、苦笑い混じりに。
虚空に？を描くことで、何とか伝わらないだろうかと試みてみるが。