森の中で人間に遭遇した。
最初は野盗の類かと思ったのだが、どうやらマコトの関係者だったらしい。
彼が突然激昂して殴りかかっていったのでなし崩し的に戦闘になってしまったが、最終的には取り押さえて落ち着かせることができた。
傍迷惑な話ではあるが、彼くらいの年齢では精神的に不安定になるのも仕方ないことではあろう。後から考えれば愚かな行動ではあるが、当時の状況ではそれが愚かであることが理解できない、というのは残念ながらよくあることだ。
この点については彼と年の近いユパックはかなり落ち着いているように見えるが、これはむしろ彼女を評価すべきだろう。同年代の彼女が諭すとさすがにマコトも反発することなく落ち着いてくれる。
彼女がいなければ我々はマコトの激昂か消沈が過ぎて早晩進軍不可能になっていたことだろう。

それにしても向こうの連中もなかなか興味深かった。
特に呪術師と名乗った男とは一度詳しく話をしてみたいものだ。
魔力がないなどといいながらも術は使う。
私の推測では行使方法が違うだけでソースは同じに思える。
一度話をしてみよう。

そういうとふわりふわりと浮かぶ『燃える氷』を彼の近くに寄せる。
その氷の周りは冷気が漂い、周囲の温度をひんやりと下げていた。
まるでその炎が冷気を放っているかの如く。

雪山における『光』それがこの炎だという。
彼女はその山での役目を果たすだけでよかったのだろう。
理論など考えたこともなかったのであった