なにがあっても俺は生きなくてはならない。
そりゃあ、深手を負って痛くて痛くて、もうどうしようもなくて、いっそのこと楽になりたいと思ったことだってある。
でも、それでも俺は生きなくちゃならない。



でないと、釣りもできないし、昼寝もできないし、武器の手入れもできない。

酒場で酒飲んで他のヤツと騒いだり、面白いヤツの話を聞くこともできない。

今日会ったやつとまた会うことが出来ない、刃を再び交えることもできない。



もう会えないやつのことを覚えていられる保証が無い。

交わした約束を果たせない。約束を交わすことが出来ない。




だから俺は生き残る。何においても。




さて、なんとか今回の仕事も済んだし、次はどうしようか。
約束もたくさんあるし、さあ、どれからやろうかな？

傭兵の背中を見送り、自分もまた別の方へと歩いて行く。

手の代わりに、鎌をブンブン振って見送った。

そう礼を言って差し出された紙を受け取る。

差し出した箱からは甘い香りがする

一礼をして歩き出す彼を見送った

伸びしろがある意味で。体のほうは平均より十分大きいけども

そのときにでも、遊びに行きましょう。
去りゆくヴァランタン。その背に向けて、カテーシーの儀礼にて挨拶を。

　自分には生えないので気楽なものである。

　そして差し出された紙片を、感謝とともに受け取った。

　そういって、微かに聞こえた声にシイッと人差し指を口の前に立てた

　

　そういって、見える背中にひらりと手を振った

あなたに会えてよかったと、そんな笑顔で。
手を離すと、少女は足早にその場を去っていく。

*絵日記でお借りしました*

　無茶振りである。しかも本人は彼のことを大人だと認めていない。

　ニヤニヤした（ように少なくとも彼女には見える）顔に、怪訝そうに一言。
　それから悩む様子を、特に何も言わずにじーっと見ていたが、

　彼がそう言うなら、相当の手練れであったのだろうと内心。

　「森もちゃんと自分の目で見てみたい」と聞いて、小さく笑った。

　そう言って、歩き出した彼に手を振って見送った。

歩き出すヴァランタンを見送る。

手を大きく振って見送る。

暗く考えなくとも、と言われると
小さく吹き出し、笑顔を浮かべた。

すかさず、ヴァルの手を取り、固く手を握り締めた。

　がつ、とナスルは戦ったあとのヴァランタンの肩に拳を軽くぶつけた。
　

　さみしげに笑いかけて、けれどもらしくないなと鼻の下をこすると。
　ナスルは大きく手を振りながら、一度立ち去るようであった。
　

ヴァルの背後で炎が巻き上がり、大きな炎の渦をつくる。
その中から、陽炎のように揺らぎながら徐々に巨大な赤い竜のような者が姿を現す。

薄く目を細めると、徐々に体が陽炎のように揺らぎ、そして消えていった。