前回までのまとめ：執事もどきが武器作ってくれるらしい。らっきー（・∀・）v

『悪化しないとも限りません』
図星をつかれただけに耳に残る執事の言葉に、一瞬笑顔が途切れる。
『そのうち喋れなくなるからな！』
あの男の言葉から察するに、呪いは確実に悪化する。
良い匂いを振りまいて、首元を花弁で彩って、そんな可憐な花々が、文字通り自分を蝕んでいる。
ちくり、と。じわり、と。
声が花に吸い取られて、その後はどうなってしまうのだろうか。
花は大きくなるのだろうか、首元で渦巻いている根はどこまで進むのだろうか、そもそもこの花は自分の何を糧に咲き続けるのだろうか。
微かな好奇心は、すぐさま大きな恐怖心に覆われる。
——目眩すら、覚えそうになる。

さておき、武器だ。
光沢がやや曇り、鈍く光る金色の杖を両手に取る。
見た目的にも、機能的にも、新しいものが欲しいのは確か。
そこへ、武器の作製を申し出る執事——断る理由など微塵もなく。
「それは、勿論。よろしくお願いいたします。あ、でも——」
言葉を一旦切った自分に、何か、と執事が首を傾ぐ。
「作るときは、教えて下さいね。見てみたいです、私」
彼なら変なものは作らず、きちんとした武器を作るだろう。
だが、完全に自分の支配下にない以上、100％安心は出来ない。
見学、という名の見張り。
両手を胸の前で組み、斜めに上目遣いで見つめながら小首を傾ぐ。
最後ににこり、と微笑んでみせた。