レイは最近はウィトサーレ…いや、真名であるウィリアムに戻った彼と行動を共にしていた。

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彼が普通に言葉を発した時は驚いたものだ。
今までは詩による言霊のような言葉か、音に敏感なレイの耳羽根すら聞き取れぬ音で呟く程度だった。

彼の語る言葉は、「力の限り戦い、戦士としての死を。」
「勇敢な死と共に、死んでしまった妻と子供に会いに行くのだ。」と。

彼の語る、彼の愛する妻と子に、レイは羨望を覚えた。
気がついた時には、それは口をついて出ていた。



「………羨ましいですね。」



その後は堰を切るように言葉を投げかけた。
彼が死への歩みを一歩でも多く踏みとどまることを願った。



「望むのなら、貴殿は我が子だ…レイ。歳は幾らも離れていないが。」



ウィリアムが発したこの言葉が、レイを更に、彼に死んで欲しくないと願う言葉となったのだ。
彼の思惑とは全くの逆方向であろう…ウィリアムはレイに、
「自分の戦いと死を見届けて欲しかった」のだから。
それが、彼の種族の中での、親と子なのだから。

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野営の準備をする傍ら、ウィリアムの傍から離れたレイにカゲが声をかけた。
最近はカゲ自身も恋人が出来た故に、戦闘時以外の自由行動が増えていた。
更にはウィリアムの前ではあまり、特に人型として出現することを控えているような節も見受けられる。

彼が死へと近づいていくことを示す言葉。
レイの表情は自然と暗くなり、耳羽根が感情に反応して下がりがちになる。

それは、それは小さな可能性。
小さな小さな、細く険しい、道だとすら思えぬ獣道。
どこにたどり着くかも分からない。

どこにたどり着くのかわからない。
だけども、結局死という結果に帰結するのならば、抗うしかない。

闇豹もウィリアムの元から去りはしたが…方法があるならば協力を仰げるかもしれない。




まだまだ、まだ、希望の全てが、ついえたわけではないのだ。







母親から存在を忘却された白き妖鳥。

戦いで愛するモノを失った黒金髪の人間。

願いを叶える赤角を持った闇の悪魔。

世界を渡り、世界を監視する赤髪の人間。

奇妙な縁は、まだ終わらない。

年齢なんて数えてなかったのだ……

ぶつぶつ言っている

ー攻城戦見学中ー