生きてるって素晴らしい。
　流石に二回にわたり兵士に追い掛け回された時は死ぬかと思ったが、どうにかこうにか逃げおおせたようだ。
　今、私は心地の良い小川に来ている。ウンディーネであるハイゼンスレーにとってもここは居心地がいいらしく、先ほどから機嫌がよい。
　人心地ついた所で、今後の方針について考える。
　一人で逃げ回るのもいい加減限界かもしれない。何かコミュニティのような所に紛れ込めれば、生存率は上がりそうだ。
　とは言え、私のような、はたから見たら不審者同然の人間を受け入れてくれるコミュニティなどはたしてあるのやら……まぁ、こればかりは調べてみるしかないか。
　なんにしても、動かなければ最悪の結末が待っているだけなのだ。

　さして表情を変える事なく。名前にこだわりとかはなさそうです。
しかし、眼鏡をかけてみれば長いまつ毛と黒目がちで大きな瞳が際立ち、
キリッとした顔さえしていればどこぞの秘書さんです。マロウさんには、みえませんが。

　ふらふら手が伸びて来たので反射的に頭を盾にしました。
ぐしゃぁ。癖っ毛が手に襲いかかりました。

　珍しくも固まってしまいました。手をのければきっと眼鏡がそそくさと返還されるでしょう。