やっほー、ネルシルタよ！
　日記っての？　アタシも書いてあげるから感謝しなさい！

　ぼちぼち寒くなって来たわね。アタシやハイゼンスレーはエンブリオ、とりわけ自然種に近い存在だから特に気にならないけど、マロウの奴は何枚も重ね着して……雪だるまみたいなカッコしてるわ！　滑稽ね。
　マロウもいい加減オッサンなんだし、旅なんてやめて、どっか一カ所に落ち着かないかしら。そしたら、アタシももうちょっと気楽に……いや、なんかハイゼンスレーにこき使われそうだわ、うう、あの小姑め。

　こう考えると、いつまでも今のような関係が続きそうな気がしてくるわね。まぁ、そんなわけがないんだけど。
　アタシもマロウもハイゼンスレーも、いつかきっと、元居た何もない場所に帰る。アタシたちそれぞれ、帰る時期は違っても、いつまでも同じようにあれない、それは一緒。
　なくなったものは戻らない。帰ったものは返らない。永遠にあることは出来ない。吹き抜けた風は戻らず、こぼれた水は地にしみていく。
　なくしたものを取り戻そうとするのも、持っているものを失くすまいとするのも、もしかしたら、何か、大きなものに反する事なのかもね。

　それが何かってのは、アタシに聞かないでね。ちょっとポエムってみただけなんだし、こんなこと考えても頭が痛くなるだけだわ。
　重要なのは、今、アタシや、この日記を読んでる誰かが何をしたいか、って事だけよ。それだけは、何があっても、今確実にあるものだもの。
　アタシは今はとりあえず……ご飯食べて寝たーい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ネルシルタ　記