ぼんやりと、庭園を歩く。
この世界に流れ着いて早2か月ほど。最初の光景も確か、このような眺めだった。

あれから多くの実戦経験を積み、格上の相手とも戦い、
溢れるような魔力を有する敵対者からはその一部を頂いた。
2か月前と比べて、文字通り比べ物にならないほど強くなっていると思う。

しかしそれでも姉の足元にも及ぶ気はしないし、
そもそもこの世界にすら自分ではどうしようもない者たちはごろごろしている。
それなりに戦えるようになって、その差が判るようになって来た。
遠い。先が見えないくらいに。


姉やこの世界で戦う先駆者と比べられて、劣るという評価は適切だろうしそれに文句を言うつもりはない。
でもそれって、おかしな事なんだろうか？　非難されなければならないような事だったんだろうか？


地を踏みしめて弱音を払う。
自分にそれが求められているのならば、そうならなければならない。
今までもそうやって生きてきた。それすら曲げたらもう、何のために生きているのかも判らない。
強くあらねばならない。優秀でなくてはならない。

前に進む。進まなくては。
姉さんと出会って、打ち倒すその日の為に、力を付けなければならない。
竜の舞う山への案内人に都合がついた。丁度いい。
全部飲み込んで、もっと上に、上に。