庭師だか元王宮騎士団副長だか解らないが、ともかく庭園で体制側の集団を蹴散らす。
強力無比との評判とは裏腹に終始こちらのペースで進行して危なげなく勝利を収めた先ほどの戦いを思い出す。

実戦を経て段々と実力を付けているという実感が沸いて来る。
それに加えて、多人数での戦闘は自分ひとりのそれと比べ、全く安定感が違うと考える。

誰かに頼る、などという事は吐き気がするが、
利用出来るだけの価値がある相手とは積極的に組んでみてもいいかもしれないと思える。
技術を盗む必要は無い——既に唯一無二の魔法技術が自分には備わっている——が、
多人数で戦闘を行う事のメリットは無視出来ない。

…少し浮かれているようだ。戦いを終えて、気分が高揚しているのかもしれない。
良く整えられた庭園が血と臓物で彩られた光景を後にしながら、次の目的地に向かう。

どこからか歌声が聴こえてくる。美しくも、切なげな歌声が・・・。

歌声にひかれて音を頼りに歩いて行くと、ふつりと歌声がやんだ。

そう言って、ふと辺りを見回すと少女がいる。