神聖騎士団に応援派遣は要請せずに、この任務をやり遂げる。
そう決めてからは、今まで以上に時間と労力を任務の遂行に費やす事になっていった。

限られた時間で、より正確な情報を、より多く集める。
その為には、僕自身や、僕がこの人の情報ならば信用できると思える人物が、直接現地に出向いて調査するのが一番だ。

僕が出入りが難しい場所の調査をしている間に、セリーナには護衛の必要のない安全な場所の調査をお願いする。
セリーナに頼み事をするのは申し訳なくも思ったが、僕が今このメルンテーゼで一番信用できる人物はセリーナだから、彼女にお願いできれば随分と調査も捗るとあってはお願いしないという選択肢は選び辛い。
セリーナは僕のお願いを、『商売のついでにできますから』と心よく引き受けてくれた。

セリーナには女神の園の調査をお願いして、僕は枯れた土地と呼ばれる不毛の大地の奥へと調査へ向かう事にした。
そこで発見されたという地下水路。
地下という事は、王城の中などに通じていてもおかしくはない。
ここメルンテーゼに来てから調査中に共闘した人物の中に、この地下水路で目撃されたトキサメという女を追っている男がいる。
彼を地下水路の入り口へ案内すれば、中の様子を探ってきてくれる事だろう。

使える手段は少しでも多く使っておいた方がいい。

そう判断して、彼を誘い、枯れた土地の奥へと足を踏み入れる事にした。

　
　　　　　　　　　　　　　　　　悲しげな瞳で、空を見ている。