マンドラゴラ事件から地味に1週間ほど経った。
ペナやサチからうまいこと聞き出しエンブリオの契約や召還もできるようになった。

別に叫ぶ必要はないのだがそこは気分だ。
イツキの前の空間が歪み美しい白い馬が現れた。
空中から地面へと着地すると静かに頭を垂れる。
額からでた角が特徴的なユニコーンだ。

契約ができても使いこなすのはまた別だ。
なるべく早く力を引き出せるようになるのが当分の目的だ。
しかし、いいかげん賞金首を狩りたい…!
だが、足を引っ張る訳にはいかない。

今は他の二人に隠れて修行中だ。
精神集中や召還を行い、また技や体術で自分の体を鍛える。
前に作ってもらった小銃に加え、狩猟刀を作ってもらったので体を動かす。
小銃を構え、狙う。動作を素早く行い、銃弾を発射したイメージをする。
最後の一発だけ実際に発射してマトを確認する。

次に狩猟刀を腰から抜く。前回より大きめで軽く剣っといってもいいかも知れないほどだ。
握りを確認して上段から振り下ろす、今度は逆に下段から振り上げ、今度は右左と振る。
少しずつ振りを小さくして速度を出し突き、払うなどの動作を行う。
最後に木の寄りかかって座るアンジェの方へと投げる。

アンジェが頭の上に刺さった狩猟刀を見てジト目で呟く。
俺は狩猟刀を抜いてそのまま頭を落とす。

頭を落とされたヘビは少し動いている。
木の上にいたようだ、降りてきていたので飯として取ったのだ。
いつもの様に血を抜いて腰の袋に入れる。

日も暮れてきた確かに町で食料を買っておくいい時間だ。
再度呼び出したHorse meatにアンジェを乗せ自分も乗り込み町へと行く。
相も変わらず一揆参加者達で賑わっている。
最初の頃より実力のついた者達により物品は大分増えていた。

手渡しされた小瓶には緑色の液体が入っている。
蓋を開けて香を嗅いでみるとスッとするが香草のような香だ。

酒に合うとは思えない香だ、どっかの国のカンポウヤクとかいう苦い薬を飲んだことを思い出す。
とりあえず腰のポーチに入れておく。

時計塔に戻ると前と同じように飯を食べて会議をする。
その後はいつも通り解散して各々で武器の点検や片付け、魔法の研究などをして寝るだけだ。
アンジェの隣で酒を飲んでいるとふと昼間の小瓶を思い出した。

1滴だけ器に入れて酒を注ぎ飲んでみる。
口の中に力強く草の味が広がり、鼻や喉をスッキリとしたミントのような香が吹き抜ける。
元々の酒の味を完封し、己が味を誇示するかのようだ。

つまり何をいいたいかと言うと咳き込むほどまずい!

咳き込んでいる内に体が熱くなりフラフラする。
これって典型的な毒じゃね?とか思っていたら力が抜けてきた。
手に持っていた小瓶を力の入らない体で放り投げる。
吐こうと思ったが体が動かず静かに倒れる。
少しずつ意識を保つのも億劫になり静かに眠った。






目を開けぼーっとする頭を活動させ思い出す。

立ち上がり体を動かしてみるが昨日の状態が嘘の様に体が軽い。
一応ちゃんとした物だったという事なのだろうが始末が悪い。
これを善意でオマケしたのだったら驚きだ。

成分を調べて場合によっては売った奴の口に流し込んでやると思いつつ探してみる。
昨日の投げた形跡が残っていると思ったが見当たらない。
特に早く投げてもないので割れてはいないはずだし、蓋が開いていたので緑色の染みがあると思ったのだ。

窓はなくこの先に置いてあるのは酒漬けされたマンドラゴラだ。
マンドラゴラも酒に漬かっていいツマミなってそうだなと思いつつ念のため確認する。
器の上から白い布を被せてあったのだが小さいビンと緑色の染みがある。
上に被せていた白い布を取るとそこには赤い葡萄酒しかなかった。

危険物がなくなりました!原因は俺です!とも言えず困る。
ため息をついて布を下ろすと布の下から柔らかい感触がする。
同時に「もさっ」という声が聞こえた。
布を取ると小さい緑色の小人がいる。

手掴みしてみると「もさぁ」といい、手から出ようとプルプル震えている。
手の平に載せてみると今度は「もさ♪」と踊り始めた。
特に害はなさそうだ。

サチやペナが起きそうな雰囲気だったので、食材の中にあったキャロットを取る。
すばやく、狩猟刀を使い彫刻を施して葡萄酒に漬け上から別の布を被せ、元の布を回収する。
急いで作った割には地味にいい感じに作れたのでばれないと信じたい。
そして、先ほどの小人の様子を見てみるとWolf meat首の付け根辺りで遊んでいるようだ。

回収しておこうと思ったがWolf meatが気に入ったのか外れず、無理やり取ろうとすると潰そうだ。
最終的にまぁいいやと思い、また横になり寝た振りを始めた。
そして静かに文字が書かれる