お前……号は今日から……

………消し…………上書きを施…、優秀な……員として

……って名…は、…って…たら…

そ……仕事ばっかりする……誰かに……てほしいって思ってる…ら？

……ねえ、

……ねえ、グノウ

…あのね、………

どうして…ってあげない……か…

僕ね……

………

ううん、なんでもない……

気…ちを……続ける…は……

…ただ、ちょっとだけ
……グノウがどこか行っちゃいそうでこわい

理性……みたいな人で……

「ナズナさん？ああ、壁の」
声こそ聞き覚えがあったものの、目の前に居る少女には見覚えがなかった。
「お休みのところごめんなさい」
「いえ、眠っていたわけではありませんから。それで、何かご用でもありましたか」
「グノウさんにお話したい事があるのですよぅ」
「……私に、ですか」
１人で現れたナズナの神妙な様子にグノウは目を細める。
思えば張りぼてをいつも着ているのにわざわざ脱いでここにやってきている。
「何の話でしょうか」
「はい。ポプリさんの話を聞いて、あれから色々考えたのですが……グノウさんにはお話するべきかと」
「どういうことでしょうか？」
「アレジアさんは、わかりますか？」
「ええ、坊ちゃんにしか見えないと言う……」
ここに居る、と言ったところには何も見えなかった。仮に嘘だとしてもあんなにうまくあの坊ちゃんにつける筈がない。本当に居るのだろう。
ただ、坊ちゃん以外には見えないだけで。
「実は、私も見えたのですよぅ」
「……！本当、ですか」
予想外の言葉に驚き、少しだけ目を見開く。
「はい。少しだけお話もしました。あの人は、今の状態になる前の記憶が無いようなのです」「……」
黙って聞いている グノウにナズナはさらに言葉を続けた。
「だから、もしかしたら、アレジアさんも、ポプリさんと同じか……それに似ている状況なのではないでしょうか？」
「つまり、坊ちゃんではない誰かがエンブリオにした、と」
「……はい」
「ふむ……」
少し考え込むグノウにナズナは何かおかしいことでも言ったかなと、おろおろしている
「ナズナさん」
「はっ、はいぃっ！？」
「ありがとうございます」
「ふぇっ」
「……色々参考になりました」
「そ、それならいいのですが」
「まあ、まだわからないことばかりですけどね」
「……応援してますですよぅ！」
「……ありがとうございます」

少し考えるそぶりをみせて

手配書を見ている貴方に対してつまらなそうな表情をする少女

迦楼羅に気づくと何か言おうとわずかに口を開くが

すぐに眉をよせ目を逸らす

従者の姿を見るなりサッとメープルの後ろに隠れた。