むかしむかし、ある所にユニコーンと言う名の馬がいました。

ユニコーンは力が強く、勇敢で、そして少し気性が荒い馬でした。

たとえ相手が自分の何倍も大きい象であっても、額に付いた一本の角を光らせ立ち向かっていきました。

非常に誇り高く、人の手で殺すことはできても捕えることはできず、

もしも運良くとらえたとしても、飼いならす前に自殺してしまうほどでした。

見事な角を持つ容姿から、やがて人々から幻獣、聖獣などと呼ばれるようになりました。

そしてその数の少なさから、非常にたくさんの想像が生まれました。

特に有名なお話は、額の角を煎じれば万病の薬になるというものです。

やがて、その話を信じた人々によりユニコーンは狩り立てられ、人々から距離を置くようになりました。



しかし、不思議なことにユニコーンは乙女に思いを寄せていたため、

美しく装った生粋の乙女の前ではその膝に頭を置き、眠りについたと言われています。



そして今、一匹のユニコーンが、一人の乙女の膝の上の寝息を立てていました。

森の奥、少し開けた空間に日が差し込み、辺りには小さな花たちが咲き誇っています。

静かな空気の中、穏やかな光と小鳥の静かな囁きだけが聞こえ

何故か小鳥は乙女の腰に荒縄でつりさげられていました。

しかも逆さまです。　　　　逆さまです。

よく見れば、ユニコーンの頭にも何やら大きなふくらみが

いま、乙女の右拳が振り下ろされました。

ゴッ　と大きな音がし、ユニコーンは再び深い眠りにつきます。

キュ　と小さな音がして、小鳥も深い眠りにつきました。

小鳥の首元には乙女の細く美しい指が添えられていたのは言うまでもありません。

辺りに静けさが戻り、小鳥の囀りさえも聞こえなくなりました。

乙女が声の方向を向くと……何と言う事でしょう！



花畑の隅にっ


ゴミがッ


缶がッッ


アルミ・カーン（空缶）が突き刺さっていました！！



聖域がごときこの場所にも、環境破壊の波が押し寄せていたのです！

許されざる不法投棄。

それをを目にした乙女は、驚きに目を見開き………目にも映らぬ速度で竹槍を抜き放ちました。

驚異的な速度で振り落されたソレ（竹槍）は花畑を大きく抉りながらも、缶を見事に叩き潰しました。

乙女は信じられぬものを見るような目で、叩き潰した缶を見つめます。

乙女はきちんと分別ができる、環境の事を考えられる系女子でした。

しかし、乙女は一つ些細なことを見落としていたのです。

己の過ちに気付いた乙女は悔い改め、明日の己に誓いました。

竹槍を捩り、アルミ缶を更に平らにしながら、

乙女は再びユニコーンの角をデコる作業に戻って行きました。

この日より、このユニコーンの角が狙われることはなくなったと言います。





めでたしめでたし。

　

＞メビウス

　

　

＞カグヤ

　

＞レーン

＞カグヤ

＞レーン

＞メビウス

＞レーン

＞メビウス

＞カグヤ

ボロボロになった妖精が、雨の中ヨロヨロと歩いている。
僅かに潮の香りがするが……