「—お茶でも飲まない？」

唐突に、きっかけも特になく誘われる。
用意されたカップを見た上で、それを“誘い”と取ればだが。
すでに出されたものを無視するのも面倒なので応じる。

「意外ね。」

誘われてもこないと思ったのか、それとも素直に応じたことへか。

「飲み方、知ってるのね。貴方。」

「嗜む程度は。」

「嗜む程度とは思えないけど。」

そう言われても、そうとしか言えないので特に反論はしない。
茶菓子に適当に手をつけて、また飲んで。その繰り返し。

「———、」

彼女は何かを言おうとして、特に何の音も発さずに口を閉じる。
大したことでもないだろうと問い質さず。
ただ静かに時が流れていく。

やがてポットが空になったので、静かな茶会は幕を閉じた。


＊


「そう、なるようにしかならねぇ。」

酒宴も終わりを告げる頃か。

「だから“陣に入れば、成ることが必然”なのさ。」

ぱきり、と。何かが割れるような音が聞こえた気がした。
正確には、視界にひびが入るような錯覚に、音があると誤解しただけだろう。

「陣で成らずは、そういった欺瞞や警戒も多いがな。」

「理解されれば、あるいは適当に納得させれば成るが易し、なのさ。」

それを認めさせるか、うやむやにさせるか。
ただあるがままを受け入れさせればいいだけのことではある。

状況によりけりだが、大抵は都合の良いほうを信じる。
また、どうでもいいからと無関心を決め込む。
そのほうが楽だし、契約の範疇での制限と割り切れる。

「貴方が理解したんなら、俺は御神木としての務めを残すのみです。」

「役の成立、式の適用、それが問題ないなら、」

「この成りも問題はない——」

認識する視界が変わる。
怠惰なそれが、清廉な林道のそれに。

神々しさというよりも、ただただ組み変わるように。
最初からそうであったかのように。


「——とはいえ、まぁ、」

座して、怠惰な様相は見せない。

「妥当な形、といったところですか。この程度が。」

成りを整えて、相対し。

「主が成長し、陰が懐に収めれば、役どころは正しく在れ。」

以前は浮かべないであろう柔らかな貌で、

「——まぁ、主には“認められた”と伝えるのがよろしいかと。」

嘘を吐く。

お、お邪魔しました！お邪魔しました！お邪魔しました！ごめんなさい！
うわあああああああ噂のポーンの情報につられた結果がこれだよおおおおおおおおおおお

早くこの場を抜け出さないと…。

茶々はウキウキしている！この上なくウキウキしている！

　　　△　　土　▲
　　（　㊤　皿　㊤）　　がしゃーん
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　／│　　塊　　│＼　　　　　　　　　がしゃーん
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