『追憶３』






《大丈夫》


《必ず、迎えに行く》


《待っていてくれ》






僅か、本当に僅かだが、『彼女』の事を思い出した。
それは、ブランチマンとの戦いの最中、傷つき、倒れ、絶望していた時に。



私と、『彼女』と・・・何人かの、味方の人間。
そして、それを取り囲む・・・『奴ら』、敵。

そこは・・・牢獄。
堅牢で、黒く冷たい金属の檻が、私達を囲んでいた。

私はそこから、『奴ら』に、なぜか、一人だけ連れ出されたのだ。








《大丈夫》


《必ず、迎えに行く》


《待っていてくれ》







彼女は、連れ去られる私に、そう言った。

なぜだかわからない。
だが、この言葉を聞いたとき・・・連れ去られる、と、その後の恐怖もあったはずなのに。


嬉しかった。
ただひたすらに、彼女から掛けられたこの言葉が、嬉しかった。


・・・そう、“記憶”している。







《大丈夫》


《必ず、迎えに行く》


《待っていてくれ》









私は、反芻する。

何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も。


幾度となく、“彼女の言葉”を。