ようやく始まりを告げた私の一揆。
しかしながら、そう簡単に目標に辿り着く訳ではない。

最初に見つけた踏み台は雑兵班。
今にも新王様バンザイ！っつうクソ賛美が伝わってきそうな面と言動。
思わず力が入りすぎて、粉々に踏み砕いちまった。

せめて、何か情報を吐かせてからにすりゃあよかった…… と、あの時はそう思ったが
親愛なる新王様を敬い、口を閉じたままだったかもしれねェな…… と、思い直す。
次があったら、聞き出すのが上手そうなのに頼んでみるかね。
幸い、近くに上手そうなのが何人かいるからな。見た目でしか判断してねぇけど。


次に出てきたのがトキサメだかいう頭足りねぇクソガキ。
頭足りねぇのは、サイのおっさんだけにしてほしいモンだ。
ソイツは開口一番、何だかごちゃごちゃ言ってたらしいが
正直暑さでそれどころじゃなかったからよく覚えてない。

私が多少暑さに慣れて余裕出来た頃にゃあ、随分と大人しくなってたモンだ。
随分汗かいてたみてェだが、アイツも暑いの苦手だったのかね。
もしそうなら、「黒い服着んなよッ！」と、めっちゃツッコまざるを得ない。

……ところで、トキサメの野郎は一体何者だったんだ？
王国軍には見えなかったし、かといって一揆参加者にも見えなかったんだけど…。

ま、顔は覚えたから、今度会ったらまたヨロシクしてもらうついでに聞いてみよ。

護りの森で採取した熟れた果実。1つ、2つと食べ進めている。

そう言い終えた後、残っていた果実の芯をバリバリと容易に噛み砕く。

大きな溜息を一つ、吐き。

妹が傍にいるからだろうか、やたら嬉しそうだがやる気はあまり感じられない…

水気の多い場所に生息する魔物達。現在、周囲にそれ等が居る。
女神の加護があるとは到底思えない光景。

しかし、魔物に囲まれる中で、彼女は笑う。

そう。笑うのだ。

不満げに唾を吐き捨てた後。

戦闘態勢を解き、周囲を見渡し始める。