報告。

参加者に関する報告書を送付。以後も調査を続行。
また、原生生物か詳細は不明だが、危険な生命体に関する資料を添付。
留意されたし。

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[SummerVacation]

ドン、ドン、という音が海辺に響く。

結局あの後はお祭り騒ぎと化した一部を眺めて回り、宿に帰っただけだ。

見上げた空に、炎の花が咲く。

「…綺麗なものね。」

ぽつりと呟く。
騒ぐのは得意ではないが、風情はいい。

もらった団扇でぱたぱたとゆるく扇ぐ。
お世辞にも涼しいとはいえないが、日中よりは遥かにマシである。

砂浜に設えられたベンチに座って、今は湯で火照った身体を夜気で洗い流している、そんな所だ。
風呂上りには、風が吹けばそれなりに心地よい。


じゃりっと砂が鳴った。

「こういう晩でしたね。貴女にお会いしたのは。」

横を見れば、こんばんは、という赤毛の青年がいた。
休んでいたとはいえ、少し気が緩みがちだな、と思考する。
ひとつ嘆息する。

「……あの時に降っていたのは星だったけれど。」

そういえば、と思い返す。あの時はこう言っていたはずだが。

「今日は心はざわつかないの？」

少し皮肉を込めた視線を送る。
赤毛の青年…トールは、ハハ、と困ったような笑いを少しだけ浮かべた。

「さすがに作り物では。」

返答は肩を一つすくめる事にする。
ベンチの端に寄り少し間を広くとる。

トールはすみませんと一言断ってからベンチに座る。
距離を離しているのは控えめな証拠というか。

「真面目君ね、相変わらず。」

また困ったように笑う。
それから彼は空を見上げた。まだ、音は続いている。

「そういえば、何か用事？」

同じように空を見上げながら聞いてみる。
特に心当たりはないのだが。

「…いえ、そういうわけでは。」

当然、予想通りの答えを返される。
まぁ、用事が無ければ会ってはいけないなんて法はここにはない。
おそらくは探していたという事もないだろう。偶然だ。

しばらくは団扇で扇ぎながら、じっと空を見上げる。

ドン、ドン、という音と共に夜空に輝く花が開く。

「たまたま、通りがかっただけです。あの夜と同じですね。」

横から声がする。
ふぅん、と気の無い返事を返す。

ドンッ、とひときわ大きな音を立てて大輪の花が開く。

…夜は風も涼しい。
良い夜だ。そう考えていると、ふと視線を感じた。
横に目線を流すと、向こうもこっちも見ていた。

「…何？」

少し可笑しくなって、小さく笑ってしまったようにも思う。
トールもいやぁと少し照れたように笑っていた。

「相変わらずだな、と。貴女には夜がよく似合っています。」

どうにも真面目君には思っていたのだが。最近は歯の浮きそうな言葉も口にする。
少し思い違っているのかもしれないな、と青年の評価を改めることにした。

「……ホントの用事はそれなのかしら。」

ナンパしに来たと。

「いえいえ、滅相もない。」

まぁ、そういうだろうな、と予想通りの言葉だった。
それからふと、あ、と視線をそらされる。

…目つきが悪い自覚はあれど、睨んだ覚えはないが。

「あ、いや。すみません。……ですが、ボタンくらいはきちんとですね。」

言われてふと目線を落とす。
そういえば湯上がりで涼もうと、少しワイシャツをボタンを開けておいた。
胸元がばっちり見えている。角度にもよるとは思う。
…気恥ずかしさがないわけではないが、黙ってボタンを留める。

「今度何かで返してもらおうかしらね。」
「…たはは…本当にすみません。」

今度こそ、真剣に困った様子だった。
ま、今回ばかりは私が悪い。冗談よ、と一応声はかけておいた。
本気にされそうなきらいはあるのだが。ま、それはその時。

ぱらぱら、と輝きを失った花びらが音をたてて落ちていく。

…少し、彼を肴にもう少し涼んでいこうと思った。
彼には悪いが、いい思いをした分という事で。


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なお、この日記には
ENo.467 トール・ライザさん
をお借りしております。ありがとうございました！！

本来は不器用な為、うまくいって良かったと心底胸を撫で下ろして苦笑。
しかしそんなこと言えない。

# make matrix
> use option: NYPHN code2, GOPHN code3, HYKYH code4
>
> -- ready --

声と共にヘクスが晴れ、曖昧になっていた姿が顕になる。

緑色のヘクスが全身を覆い、また晴れる。
そこには元通りの男の姿。