お祭りでヘスティアに会えたお陰で、迷わず工房にたどり着けた。
作業場にはヘスティアと、鍛冶屋の旦那さんと、私。
クロにはミルとコロをお願いしている。

機械腕の修理は初めてだと聞いていたけれど、作業は素早く、正確に行われた。
私が質問に答えるとすぐに伝わって、私の良く解らない事でも
私の知識を超えてどこか知らない所から答えを拾ってくるみたいで、
手付きにも迷いは無く、安心して右腕を預ける事ができた。



「アーシェはあなたに助けて欲しいと思っている。」



ここに来る前に、ヘスティアに言われた事。
私の迷いを知っているみたいに、言葉をくれる。
…アーシェみたいに。

会ったばかりの私に、ここまで言ってくれるなんて、
また大きすぎる恩を受けてしまった。
ヘスティアに誘われて私がイクスクオラで死んだら、
ヘスティアは感じなくても良い責任を感じる。
その覚悟までして、言ってくれた。
だから私は、流されるのではなくて、
目の前に選択肢を置いて選び取らなくてはいけない。





生まれ変わったみたいにキラキラと光る右腕を撫でた。
これで無償だなんて悪いと思ったけれど、
ヘスティアは代金を受け取らないと思ったから、グロリオサの花だけ置いてきた。

火に油

機嫌よさ気に地面へと線をひいていく、目線は隠れわずかに歪んだ口元からは狂気を感じるかもしれない

カエルらしい、だが製作過程にその断片を見つけることが出来るとすれば、特異な頭の形ぐらいだろうか。少なくとも瞳か模様か判断できないものが、ちりばめられている

そういうと、鞄を持ってきて漁り出します。がさごぞと五分ほど、取り出したのは掌サイズのロケットが三つ。金属と硝子の組み合わせで作られたそれには、白い砂のようなものが封入されている

そのままぎゅっと握りつつ

万の気持ちを一言に込めて確認をする……。

差し出された機械を受け取ると、嬉しそうに眺めまわす。

荷物を持ち直すと、その場から歩き出す。

が、何か思い出したのか、急に立ち止まる。