「ヘイル、久々に稽古をつけてあげるわ」
アズが少し外出している時、ふとお嬢様が言い出した。
「それはありがたいですけど……また何か思いついたのですか？」
お嬢様からこう言い出す時は必ず何かある、前回は確か……ああ、料理を戦術に組み込むだとか言って盛大に失敗してたはずだ。千切りラッシュとか……何だったのかしらあれ？
「前回みたいなことの場合は却下しますよ」
「大丈夫よ、今回はちゃんとまともなんだから。ほら、これ」
そう言ってお嬢様が私に渡したのは……爪？
「ほら、あなたも獣人じゃない、身体能力を活かすならやっぱりこれでしょ？」
確かに、理に適っている。剣１本じゃ戦えないから色んな可能性を広げてみろってお父さんも言っていた。
「それに、もう１つ理由もあるわよ。ちゃんとしたの」
「まともな理由ですか？」
「ええ、あなたに前剣を異質に扱う技術に魔力を吸われてるって言ったわよね。でも今なら私の力と契約している以上、魔力上昇している。だからこそ剣を封印するのよ」
「そこで、剣以外の得物として爪。ですか」
お嬢様が力強く頷く。確かに魔術を使いたい。という思いは残っている。思わぬ自体だけど、行けるのならばやってみる価値はあるだろう。
「それじゃ、行くわよ。ヘイル」
「はい、お願いします。お嬢様」
渡された爪を装備して構える。まだまだ続くこの世界、色んな戦い方を模索していかねば

そういえば、良くお姉様の戦い方は見ていなかった、まじまじと見ると不思議……。

手にとって思いっきり力を込めてみる……っが、やはり上手くいかない。

首をかしげながら返す、相性か何かか……。