■平原：大草原にて

「ふぁ…ぁー、歩き通しやと、ちと暑いくらいやな…」
「大口開けてみっともない…と、そうや。サクロの、緑のモチは食わへん？」
「何や緑て。花見団子の残りか、草餅か」
「残りというたら残りやけど」
「せやから、何の」
「正月の」
「もーいーくつ寝て過ぎとるか数えてみぃ」
「腹壊さへんもん、構わんやん？」
「かまーう！　おなか壊さんでも確実に美味しないー！！」
　…。
「二人揃えばかしましい…。…はぁ、お嬢様ー…」
　…。
「ほら、竜の嬢ちゃんや、あそこの花なんぞは、今の竜の嬢ちゃんの頭と似てへんかね」
「…あれは一昨日の色合いに…お嬢様ー…」
「それじゃ、あちらの花ならどうかな、少し大ぶりかもしれないけれど」
「…あれは三年前の今頃の…お嬢様ぁー…」
　…。
「アカンな、これ」
「アカンねぇ…」