■城内：大廊下にて

　石畳の上を進みながら、周辺を薄ぼんやりと照らしついてくるそれを振り返って伺う。
　何というものか知らなければ、妖精の明かりとでも勘違いしそうな。
　白衣の先生が連れて歩くというのか、あれやこれやと働かせ使うデバイスだ。
　ふよふよとしているそれをつつきたくなるが、交戦中のようなぴかー！だのぺかー！だのと攻撃されては敵わない。
「なぁ、まなかせんせーや。これって触っても平気かいな？」
「ん？　乱暴にしなければ、…あとは、
「食べたりはせんから」
　見返す目がややじっとりとするのは致し方ないことだろう。

「ふむ。真似ていじれはするもののや、やっぱり何が何だかさっぱりやな」
　つついてやれば元の配置に戻ろうとする軌道を眺めて呟く。
「長い時間を…、探究とは言わないまでも、勉学に費やそうとは思わなかった？　いわゆる、天才になれたかも」
　おかしそうな響きで言うので首を傾げる。
　確かに。と思ったせいでもあるし、なぜだろう？と思ったせいでもある。
「ふむ…私はあんまり、自分一人でモノを覚えられんさかい、そやなぁ…」
　私の内側といえば覚えていてほしいと乞い願われた色々で詰まっているようなものだが、その大半は、戦ったり稼いだりすることに便利なものでも都合のよいものでも何でもない。
「それこそ、天才が私を愛ででもしてくれりゃ、私はそいつを見習って似たもんになれるかしれんな？」
　首の角度を戻して言う。
「せんせーはどうかね、まだ人形遊びに興味のある年かいな？」
　言葉では答えずに、首を傾げて笑われたので、肩を竦めて返した。
　いやはや、わからない人間ばかりで、何とも楽しいことだ。

System Message : M.E.E.駆動...出力...30%...40%...50%...M.E.E.戦闘出力確保......