■森林：護りの森にて

「珍しい面子やな」
「そうだねー、さっきゅんとも久しぶりー」
「こないだは一人で頑張っとったんやったか、ご苦労さんやったな」
「うんー、ばっちりー♪」
　鬱蒼とした森とはギャップのある明るさと共に、呑気に道をいく。
　自分ですら、はて、二人連れだったかと錯覚しそうだが、先頭にはひっそりと道先案内がある。
　その頼もしさゆえの、この能天気な道行だ。

　時折立ち止まり周囲を確認するのは、何やらの気配を探っているのか、あるいは植物の危険度を見ているのか。
　あの男が本来あるのは、こういう場所なのだろう。
　よくもまぁ、屋敷ののほほんさに付き合っているものだと思う。
　もちろん、何かしらの都合のよさはあるのだろうが、それにしてもだ。
　まさか、あの様相でいて、とことん人がよいのだろうか。
　確かに、口を開けば、愉快な言葉もぼろぼろこぼしているのだし。
　計算しての振る舞い…というわけではないだろう。それはない。ないな。
「…何や、人と共存し始めた頃の動物みたいや」
　後姿を眺めてぽつりと呟く。
　それはあながちそう間違ってもいないように考えている。