「イリス」
「はい、お父様」
父の部屋に招かれ出されたお茶を楽しんでいると、イリスは父に改まった表情で話しかけられた。
「これからお前に選んでもらいたい事がある。……なに、そう不安そうな顔をする必要はないよ。難しいことじゃない。——入りなさい」
父は自らの従者に手でサインを送れば彼は扉をゆっくりと開き、外で待っていたらしい四人を部屋の中へと招き入れる。
男二人、女二人。そのうち三人は屋敷の中で見たことのある顔だ。この屋敷に仕える従者だとイリスもすぐに理解する。
「あ……」
一度も見た覚えのない少女も、きっとこの屋敷の従者なのだろうと察することができた。服が他の従者と同じだからだ。
しかし、他の三人には決して無い大きな特徴がその少女にはあった。
白い猫の耳だ。獣の耳が付いている。
「イリス」
父の再びの声に我に返り、イリスは父を見上げた。
「これからお前に、今後お前の世話をする従者を選んでもらう。彼ら四人の中から、一人選びなさい」
再び視線を従者たちへと戻す。
考えるふりをしてみせるが、父にはバレていたかもしれない。
既に心も視線も、ある従者に惹きつけられていたからだ。
それはただの好奇心からくる物だったが。
「お父様。……この人がいいわ」
それはイリスが5歳の時。
アリストクラット・シャット＝ブランシュとの初めての出会いは、実に淡白な物だった。

　

　

プレゼントを受け取り

鼻歌混じりにとっても上機嫌の様子だ。どうやらとても気に入ったらしい

赤くなった頬を元に戻そうと深呼吸してます。
イリスの言葉を聞くと、にへっと笑って

フィンとシェリナのやりとりを見れば、ニヨニヨと笑いつつ、頷きます。

クールなイリスとは対照的に、明るく元気に答えます。

狐はものすごいショックを受けている…どうやら、だいぶ迂闊なようだ…！

イリスの申し出を素直に受け入れ、手を差し伸べる。

そういって背負っていた巾着から、匂いの元…焼きたてでホンワカ温かいスコーンを取り出す。

イリスの掌よりも小さなスコーン。小さいがそれだけに食べやすく、味は間違い無さそうな香りがする。